●2017年の1月から2月にかけて、笈田ヨシ演出によるプッチーニ「蝶々夫人」が金沢、大阪、高崎、東京の四都市で開催される。金沢歌劇座、東京芸術劇場他による全国共同制作プロジェクトで、同じプロダクション、同じ指揮者で各都市を巡るが、オーケストラと合唱団はそれぞれ各地で異なるという方式。金沢はOEK、大阪は大フィル、高崎は群響、東京は読響が演奏を務める。歌手も共通だが題名役は中嶋彰子さん、小川里美さんのダブルキャスト。12月13日、東京芸術劇場で記者懇談会が開かれた。写真は高崎のダルマに片目を入れる笈田ヨシ(演出)と、後列左から中嶋彰子(蝶々夫人)、ミヒャエル・バルケ(指揮)、ロレンツォ・デカーロ(ピンカートン)、サラ・マクドナルド(ケイト・ピンカートン)、小川里美(蝶々夫人)、鳥木弥生(スズキ)、晴雅彦(ゴロー)の各氏。
●日本を代表する演劇人であり、長年パリを拠点にヨーロッパで活躍する笈田ヨシさんが、日本で初めてオペラを演出する。「蝶々夫人」は今年2月にもスウェーデンのエーテボリ歌劇場で演出しているそうだが、今回はこのプロジェクトのための新演出。日本で演出を引き受けるにあたっては、ヨーロッパでともに仕事をしてきた舞台美術、照明、衣裳デザイナーも招いて国際色豊かなチームが組まれている。
●笈田さん「日本でやる、というより、いつもと同じようにやりたい。僕はオペラを見ると寝ちゃうんです。でも僕が演出するときは、音楽に詳しくない人でも眠くならないようなオペラを作りたい。退屈しない、おもしろいものを描きたい。プッチーニのこの作品では異国趣味が重要な要素。しかし、これは日本で上演する際には意味がない。その代わり、今の日本人が見て意味のあるもの、人間の真実、日本人の心持ち、アメリカ人の心持ちを表現したい」
●指揮のミヒャエル・バルケはドイツ生まれ。イタリア・オペラも含め、オペラで多数の実績を積む若手。日本デビューは2015年に東京と金沢で行なわれた共同制作オペラ「メリーウィドウ」。「蝶々夫人を日本で上演することには特別な意味がある。プッチーニは日本をよく研究していると感じる」「笈田さんの演出はすごく音楽的で、自然。これまで30人くらいの演出家と仕事をしてきたが、笈田さんは最高の演出家だと思う」
●なおバルケさんによると、「蝶々夫人」には5つの出版されたバージョンがあるが、今回はブレシア再演版を一部用いるのだとか。一般的な版との大きな違いはケイトがクローズアップされているところだという。
●1月22日の金沢歌劇座でスタート、おしまいが東京芸術劇場で2月18日と19日。
December 15, 2016