January 12, 2017

価格と価値

●昔、ある音楽雑誌のベテラン編集者がこんなことを言っていた。「CDはぜんぶ同じ値段で売ってるだろう? あれはおかしいと思うんだよね。だって1回しか聴かないCDと、何百回も繰り返し聴くCDが同じ値段なんて、ヘンじゃないの」
CD棚●いやー、まあ、たしかに購入者にとっての価値と価格が比例すべきであればその通りだろうし、ワクワクしながら買った一枚が期待外れだったときにそういうことを考えたこともなくはない。でもムリじゃん。そうなったら、買ったけど封も開けずに積まれてるCDはタダなわけ? 一見もっともらしいけど、なんだかその考え方って腑に落ちないなー、てなことを、たぶんワタシは思った。
●でも、そのベテラン編集者の言ってたことは、半ば現実になった。ただし、裏返しになって。対価を払う側ではなく受け取る側が、ストリーム配信で再生された回数に応じた報酬を手にするようになったわけだ。そして、聴く側はSpotifyのような形で「買ったけど封も開けずに積まれてるCD」と同等のものを大量にほぼ無料で手にしている。ここまでの事態を予見した人には会ったことがない。

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