●31日は東京オペラシティでベルリン・フィル八重奏団。メンバーが超強力。樫本大進、ロマーノ・トマシーニ(ヴァイオリン)、アミハイ・グロス(ヴィオラ)、クリストフ・イゲルブリンク(チェロ)、エスコ・ライネ(コントラバス)、ヴェンツェル・フックス(クラリネット)、シュテファン・ドール(ホルン)、モル・ビロン(ファゴット)。まさに極小ベルリン・フィルといった洗練されたアンサンブル。この団体、フルトヴェングラー時代からあって80年以上も続いているそうなんだけど、プログラムに載っていた樫本大進インタビューによれば「公演数は年間で片手に収まるくらい」なんだとか。メンバー全員のスケジュールを合わせるのが大変で、日本はかなり前から日程が決まるので唯一ツアーが可能になっているそう。2011年に来日した際に今回と同じシューベルトの八重奏曲を聴いたが、そのときからはメンバーが刷新されている。
●で、曲はニールセンの「軽快なセレナード」(甲斐なきセレナード)、ドヴォルザーク(シェーファー編)の5つのバガテルOp47(八重奏版)、シューベルトの八重奏曲ヘ長調D803。シューベルトの八重奏曲は「ベートーヴェンの七重奏曲のような作品を書いてほしい」という依頼にこたえて書かれたということで、ベートーヴェンにヴァイオリン1が加わった編成。編成や楽章構成などベートーヴェンの七重奏曲と似た雰囲気で気軽な室内楽のような構えを見せつつも、中身はもっとシンフォニックで、あと一歩で交響曲というところまで迫っている。
●この曲を聴くとベートーヴェンの交響曲第7番を連想する。八重奏曲第1楽章の序奏は交響曲第7番の第2楽章に似ているし、八重奏曲第3楽章のスケルツォ部分の執拗に反復されるリズムは交響曲第7番の第1楽章主部を、八重奏曲終楽章の序奏は交響曲第7番第3楽章のトリオを思わせる。でも聴き終えたときの感触は「グレート」みたいな「天国的な長さ」、つまり、尽きることのない喜びのほうなんだけど。
February 3, 2017