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February 6, 2017

BCJのベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」

●3日は東京オペラシティでバッハ・コレギウム・ジャパンのベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」。記念碑的名演っていう言葉はこういう日のためにあるのかなと思った。作品の破天荒な巨大さ、内在するエネルギーの大きさ、情熱と共感の豊かさがひしひしと伝わってくるような特別な公演。いつにもまして精妙で、力強い。合唱もすごい。ソプラノにアン=ヘレン・モーエン、アルトにロクサーナ・コンスタンティネスク、テノールにジェイムズ・ギルクリスト、バスにベンジャミン・ベヴァン。コンサートマスターは寺神戸亮さんでベネディクトゥスの綿々と続くソロは立奏。しみじみ聴き入る。オーケストラのメンバーを見ると、トロンボーンに南西ドイツ放送交響楽団の清水真弓さんの名も。客席はびっしりと満員。これで一回だけの演奏会とはもったいないとも思うが、先に録音をしてから本番に臨んだ模様。休憩なしで濃密。
●「ミサ・ソレムニス」の好きなところベスト3を選ぶとしたら? まずはキリエで冒頭から合唱が登場するまでのドラマティックな展開、グロリアは爆発的な冒頭からずっとカッコいいけど、やっぱりフーガの眩暈がするような高揚感か。終結部の畳みかけるような迫力は尋常じゃない。クレドは冒頭主題がベートーヴェンならではダサカッコよさで、後半のテンションの高さがすさまじい。ベネディクトゥスの清澄さもマストだけど、アニュス・デイの後半、一瞬このまま安らかに終わるのかなと思ったらトランペットが鳴りだして不穏な空気が流れて、最後にはふたたび平和が訪れるという展開もいい。あ、3つになってないか。