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February 8, 2017

ロナルド・ブラウティハムのモーツァルト&ベートーヴェン

●7日はトッパンホールでロナルド・ブラウティハムのリサイタル。フォルテピアノはアントン・ヴァルター1800年頃モデル、ポール・マクナルティ2002年作。前半がモーツァルトでピアノ・ソナタ第5番ト長調K283、ロンド イ短調K511、ピアノ・ソナタ第12番ヘ長調K332、後半がベートーヴェンでピアノ・ソナタ第8番ハ短調「悲愴」、第18番変ホ長調、第17番ニ短調「テンペスト」。セルフ譜めくり。
●モーツァルトは両ソナタの対照的なキャラクターが印象的。ソナタ第5番は牧歌的というか、晴朗さをベースとしながらも、どこか糸の切れた凧のような気まぐれさが吉。第2楽章の空虚で漂うような雰囲気とか。一方、第12番の魅力はニューロティックなテイストだと思う。第1楽章冒頭とか第3楽章冒頭とかの落ち着かない感じが楽しい。しかしブラウティハムの演奏は節度があって、むしろ端整。
●後半のベートーヴェンはぐっと音楽のスケールが拡大する。音域ごとの音色の多彩さ、ニュアンスの豊かさ、「テンペスト」のペダル効果やレチタティーヴォ風のブツブツつぶやく独り言(?)等もりだくさんだが、いちばん楽しかったのは第18番終楽章の終楽章かな。この曲の悪ノリ気味の酔っぱらいみたいな弾けっぷりはベートーヴェンの真骨頂って気がする。アンコールは「エリーゼのために」。本編からすると、ずいぶんと情感豊かな演奏。
●フォルテピアノでのベートーヴェン、音楽的なスケールは大きい一方、物理的な音量は(普段同じ場所で耳にするものに比べて)小さい。目下のところ、この認知的不協和がマイ課題。