●22日は横浜みなとみらいホールでパーヴォ・ヤルヴィ&N響。サントリーホールが休館中の間、N響定期のBプロはお休み。その代わり、今月は「N響横浜スペシャル」として横浜みなとみらいホールで2公演が開かれることに。このホールでN響を聴くのがなんだか新鮮。遠いのでかなり余裕をもって現地に到着したんだけど、みなとみらい駅の改札で駅員さんに「コンサートホールはどちらですか」と尋ねている年配男性がいた。わかる。ホールは駅直結なんだけど、駅空間が巨大すぎて一瞬どこの案内を見たらいいのかわからなくなる。長いエスカレーターをのぼって、2017年みなとみらいへの旅。
●プログラムは武満徹の「弦楽のためのレクイエム」とマーラーの交響曲第6番「悲劇的」。休憩なし。続く欧州ツアーでも演奏するプログラムで、コンサートマスターふたりがそろい踏み。チェロの首席もふたり並ぶという豪華仕様。「弦楽のためのレクイエム」は思った以上に振幅の大きな音楽。いつにも増して精緻な響き。マーラーとつなげて演奏することまではしなかったが、両曲が並ぶことで哀悼と破滅というストーリー性が際立つ。「悲劇的」もこれまでのパーヴォのマーラーと同様、引き締まったサウンドによる筋肉質な推進力にあふれた音楽。このコンビの最初の記念碑的な「巨人」を思い出す。うねるような悲劇的情感が噴出するというよりは、精密で高純度なスペクタクルで、カタストロフに向けて一直線に驀進する。いつも楽章の配置が問題になる曲だが、第2楽章にスケルツォ、第3楽章にアンダンテ。終楽章のハンマーは2回。弦楽器の配置はこれまで同様に対向配置でいちばん下手にコントラバス、さらにハープ3台も。
●休憩がなく普段よりは早めの終演だが、帰り道はみなどことなく急ぎ足のような。東京から足を延ばしたということか、あるいは「悲劇的」第1楽章のきびきびとした行進曲のリズムが頭にこだましていたのか。
February 23, 2017