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March 21, 2017

小泉和裕指揮名古屋フィル東京特別公演

●20日は東京オペラシティで小泉和裕指揮名古屋フィル。同楽団創立50周年を記念しての特別公演で、曲目はブルックナーの交響曲第8番。小泉和裕音楽監督時代になってから、初めて名フィルを聴くことができた。名フィルはマーティン・ブラビンス常任指揮者時代に2度ほど名古屋で聴く機会に恵まれ(うーんと太古の昔に遡ると外山雄三時代にたくさん聴いているんだけど)、近年の充実ぶりは承知している。ただ、ティエリー・フィッシャー、ブラビンスという流れからすると、大きく方向転換したなという印象。
●で、ブルックナー。ここ数年、意識的にいろんな楽団のブルックナーをたくさん聴くようにしてきて、自分内テーマとしては、音の大伽藍じゃないブルックナー、多様で色とりどりのブルックナー、最新モデルのピカピカのブルックナーを追い求める旅みたいな気持ちで楽しんでいたんだけど、一周回って本格派の一本筋の通ったブルックナーに再会したという気分。精悍で推進力に富み、厳かな正調ブルックナー。
●開演前のロビー室内楽は名古屋でもやってたっけ。お得感。場内アナウンスとプログラムに挟まれた紙で、この日の使用楽譜がノヴァーク版からハース版に変更されるという案内あり。このパターンはたまにある。同じ交響曲なのに、版の違いがここまでクローズアップされるというのはブルックナーにとっての幸福なのか、不幸なのか。しかし第1稿ノヴァーク版とか第2稿ハース版とか第2稿ノヴァーク版とか、旧全集だとか新全集だとかいろんな稿やら版やら呼び方やらがあって、その複雑さだけでもブルックナーにひるんでしまう人も多いんじゃないだろうか。バージョン管理をもっとシンプルで明快な方法でやり直すことはできないものか。Windows 8.1とかiTunes 12.5.5みたいな感じで、Bruckner 8.2.2(=第8番の第2稿の2番目の版)とか。差分ファイルでバージョンアップできる的ななにか。
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●お知らせをひとつ。NBSのサイトでバイエルン国立歌劇場日本公演に向けて「オペラへの招待」というシリーズ記事(全4回くらい?)を始めたのでご笑覧いただければ。第1回はおとなしくスタートして、第2回以降はくだけたテイストになる予定。