●11日午前、すみだトリフォニーホールで新日本フィルの2017/18シーズン・プログラム発表記者会見へ。上岡敏之音楽監督(写真中央)の2シーズン目にあたる新シーズンのプログラムが発表された。宮内義彦理事長(写真右)の冒頭あいさつでは「ヨーロッパの雰囲気、他の楽団にはないものを上岡音楽監督がもたらしてくれる。昨シーズンより新日本フィルは変わりつつあるという声が寄せられているが、2シーズン目を迎えて、ますます特徴を持った楽団になっていく」と述べられた。上岡敏之音楽監督「新シーズンのプログラムをたとえるなら、ハリウッド映画ではなくヨーロッパ映画。派手な打ち上げ花火は入っていない。楽譜に向き合って、音楽の中身を伝えていく。客演指揮者やソリストもビジネスのために来日するような人ではなく、表現したいものを持っている人を招く」
●そして発表されたプログラムがこちら。客演指揮者の名をざっと挙げるとルイ・ラングレ、ライナー・ホーネック、マルクス・シュテンツ、パヴェル・コーガン、アンドリュー・リットン、デニス・ラッセル・デイヴィス、タン・ドゥン(自作を指揮)、ラドミエル・エリシュカ、尾高忠明、ジェームズ・ジャッド、鈴木雅明、オッコ・カム、ジョアン・ファレッタ、シモーネ・ヤング。全体の傾向として、意欲的なプログラムが目立つ。もちろん超名曲もたくさんあるが、普段あまり演奏されない曲や、テーマ性を持ったプログラムなどがたくさんあって好奇心を刺激する。たとえば、上岡音楽監督の指揮する公演だと、ラフマニノフの「死の島」とレーガーの「ベックリンによる4つの音詩」を組み合わせたベックリン「死の島」プロとか、ニールセン「ヘリオス」とツェムリンスキーの「人魚姫」を組み合わせた変則デンマーク・プロとか。シュテンツのヘンツェの交響曲第7番にハイドンの交響曲を組み合わせたプログラムも興味深い。
●定期演奏会には昨季同様の3つのシリーズがあって、トパーズ(トリフォニー・シリーズ)、ジェイド(サントリーホール・シリーズ)、ルビー(アフタヌーン コンサート・シリーズ)。なぜトパーズなのか、なぜルビーなのかというのがずっとよくわからなかったのだが、質疑応答で出た同様の質問に対する回答を聞いても判然としない。どうやらプログラムのコンセプトの違いではなく、会場や開演時間の違いということなのか。ルビーは金土の各14時なので、平日昼公演もある。内容的には他のシリーズと比べて特に名曲中心のプログラムに傾いているわけではない。あと、特別演奏会として横浜みなとみらいシリーズにサファイアという名前が付いた。
●ユニークなのはトパーズとサファイアのセット券購入者が招待される上岡敏之ピアノ・リサイタルが開催される点。曲目は発表されていないが、特典といえばこれ以上のスペシャル感のある特典もない。
April 12, 2017