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April 24, 2017

ルイージ指揮N響とラナ

●21日はNHKホールでファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団。前半にベアトリーチェ・ラナの独奏でベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番。ラナは先日リリースされたバッハのゴルトベルク変奏曲でも注目されるイタリアの新星。小気味よく軽快、溌溂として機知に富んでいる。澄明で硬質なピアノの音色を駆使して、鮮度の高いベートーヴェンを聴かせてくれた。アンコールはバッハのパルティータ第1番からのジーグ。先日のシフのリサイタルでも聴いたアンコールの定番曲だが、これもみずみずしく軽快。指揮のルイージがステージ上の椅子に腰かけて聴き入っていた。
●後半はブラームスの交響曲第4番。第1楽章の冒頭を、すっと無から有が生まれてくるかのように鳴らすというのはこの曲の入り方の理想形だとは思うが、ルイージはとりわけ念入りにタメて入った。そこからは「ここまでエモーショナルな音楽をする人だったっけ?」と思うような心揺さぶるブラームス。第3楽章の謎めいた浮かれ騒ぎが終わるやいなや、間髪入れずに第4楽章の厳粛なパッサカリアに突入する趣向が効果抜群。これなら緊張感が途切れない。ルイージの気迫はホールの隅々まで伝わったにちがいない。
●ルイージとN響はもっと聴いてみたい組合せ。もしマリオ・ブルネロをソリストに呼べば、マリオとルイージのコンビが誕生するじゃないかと思い至る。