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May 14, 2017

ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団のハーマン、バートウィッスル、ベートーヴェン

●13日は東京オペラシティでジョナサン・ノット指揮東京交響楽団。まったくユニークなプログラムで、ハーマン/パーマー編の「タクシードライバー ~オーケストラのための夜の調べ」、バートウィッスルの「パニック ~アルト・サクソフォン、ジャズ・ドラムと管打楽器のための酒神讃歌」、ベートーヴェンの交響曲第8番。アルト・サクソフォンに波多江史朗、ドラムスに萱谷亮一。映画音楽、現代音楽、古典派交響曲というまったく直接的な関連のなさそうな3曲が並んでいるのに、全体としてあたかもひとつの作品のように思えてくるプログラム。サクソフォンで結ばれた「タクシードライバー」と「パニック」、そして「パニック」の副題にある「酒神讃歌」はベートーヴェンの力感あふれる終楽章にもつながって、熱狂の渦を巻き起こす。実は全部合わせても正味1時間強しかないプログラムなのだが、聴きごたえは十分。
●ハーマン/パーマー編の「タクシードライバー」、もう少し時代が経つと純音楽作品になるのかもしれないけど、今のところはまだマーティン・スコセッシ監督の映画の持つインパクトが生きている。大都会をさまよう孤独な魂。物語の細部はすっかり忘れているが、すぐに思い出すのはロバート・デ・ニーロが鏡の前で「練習」をする場面。なので、やはり音楽にも孤独と狂気を見出してしまい、それが爆発してバートウィッスル作品の狂騒へと続くように感じる。この曲を単体で聴いたらずいぶん違った印象を持ったにちがいない。
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●NBSのサイトのミニ連載コラム「もっと楽しく! オペラへの招待」が完結。第3回「『タンホイザー』、社会に抑圧された若者の物語」、第4回「オペラは見たままに理解する」(←いつもこのブログで言ってるような話)。ご笑覧ください。