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May 19, 2017

エサ=ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団のマーラー「悲劇的」

●18日は東京オペラシティでエサ=ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団。ストラヴィンスキーの「葬送の歌」(日本初演)とマーラーの交響曲第6番「悲劇的」を組み合わせたプログラム。休憩なしは吉。「葬送の歌」はストラヴィンスキーの失われていた初期作品で、昨年の12月にサンクトペテルブルクにて、ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団によって蘇演された12分ほどの曲。初演の模様はネット上で映像配信されたが、続く出世作「火の鳥」のプロトタイプであると同時に、ワーグナーの影響も。リムスキー=コルサコフの逝去に伴って作曲されたということで「葬送の歌」と題されているわけだが、当初「悲劇的」のみだったプログラムにこの一曲が加わって、予期せぬ文脈が生まれたかも。サンクトペテルブルク音楽院の改修工事に伴って図書館の資料を移送する際に発見されたということだが、いったい全世界の図書館にはどれだけ失われた楽曲が眠っているんだろうか。どこか探したらベートーヴェンの交響曲第10番とか出てこないの?(出てきません)
●マーラーの交響曲第6番「悲劇的」は壮絶。すさまじい熱量を持った演奏で、オペラシティの空間に収まりきらないほどの音圧。しかし分解能は高く、サウンドは輝かしい。冒頭のザクザクとマシーンみたいに行軍するところからただならぬ気迫が漂っていた。第2楽章にスケルツォ、第3楽章にアンダンテの配置。激烈な作品だが、アンダンテの甘美さ、柔らかさが白眉か。終楽章のハンマーは2回。ハンマーもさることながら、タフなブラスセクションがすごい。これだけの演奏だからこそ、作品の容赦のなさにたじろぐという面も大いにあり。曲が終わった後に完全な沈黙が訪れて、その後大喝采。サロネンのソロ・カーテンコールが2回。このコンビ、聴くたびに印象がずいぶん違うんだけど、この日はフルスロットルの爆走を目の当たりにした感。