●サントリーホール休館中にミューザ川崎で開催されている「N響 午後のクラシック」だが、この3回シリーズがハイレゾで無料配信されることに。現在、4月に開催された第1回が公開中。広上淳一指揮、ダニエル・ホープのヴァイオリンで、曲はブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、ベートーヴェンの交響曲第7番他。以降、フェドセーエフ指揮の第2回、コープマン指揮の第3回と続く。これは快挙。さっそく第1回公演をハイレゾで聴いて、臨場感を味わったところ。
●少し説明しておくと、今回公開されているのは、映像とハイレゾ音源。映像のほうは一般的な動画なのでN響サイトでブラウザ上からアクセスできる。一方、ハイレゾ音源を再生するためには、IIJのPrimeSeatというプレーヤーをインストールする必要がある(パソコン専用、スマートフォン非対応)。このPrimeSeatでは同じ音源をDSD5.6MHzとPCM96kHz/24bitの二種類から選択できるようになっている(DSDネイティブ再生にはASIO DSDモードに対応したオーディオ・デバイスが必要)。いずれもCDよりずっと情報量は多い。実はDSDというものをぜんぜん知らなくて、今ようやくググっているニワカ者なのだが、これっていわゆる1bitオーディオっていうか、SACDでも使われている方式なんすね。PCMは直感的に理解可能な原理だが、DSDはかなり理解が難しい。オーディオ関連のサイトでもあまり突っ込まないように配慮されている印象。個人のブログだが、ここが参考になった。
●で、IIJのサイトに親切な説明図があるように、こういったPCオーディオを楽しむためには、USB-DAC(USB-DAC搭載ヘッドホンアンプ)を用いるのが吉。これをPCのUSB出力と、普段使っているオーディオ機器(アンプなど)のアナログ入力の間にはさむ。ハイレゾだけではなく、Apple MusicでもNMLでもそうやって聴く。使っているスピーカーやヘッドフォンもCDを聴くときと同じもの。たまに「Apple Musicって便利だ~」みたいな話をすると、「えっ、スマホで聴いてるんですか?」的な反応が返ってくることがあるのだが、そういうわけではない。
●で、そうやってヘッドフォンで聴いていると、ハイレゾはもちろんすばらしいのだが、CDでも十分すばらしいし、それどころか圧縮音源でもぜんぜんすばらしい(と感じてしまうので、自分はオーディオファンにはなれない)。上記のN響音源でわざわざ同じ曲の同じ場所を映像とハイレゾ音源で聴き比べてみたりもしたのだが、どちらを聴いても(ヘンな言い方だが)生のコンサートでは決して体験できない臨場感がある。鋭く鮮やかで、豊潤なサウンド。音源フォーマットのいかんにかかわらず、(もとの録音さえよければ)客席では聴けないものを聴けるのがオーディオだと自分は理解している。まるで虫眼鏡のような。
May 31, 2017