●17日は東京芸術劇場でシモーネ・ヤング指揮読響へ。ワーグナーの「さまよえるオランダ人」序曲、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番(ネマニャ・ラドゥロヴィチ)、ブラームスの交響曲第2番というドイツ音楽プロ。シモーネ・ヤング、豪快。推進力にあふれ、オーケストラが気持ちよく鳴る。指揮ぶりはエネルギッシュだが明快で、後ろから見ていてもそこでどんなサウンドを求めているのか、よく伝わってくる。テンポは心持ち速めだが、ためるところではしっかりとため、鳴らすところでは鳴らす伝統的なドイツ風のスタイルというか。ブラームスの終楽章で急にテンポを落として強調する部分があったりして、うっすらと巨匠風味も漂うのが吉。巨匠と呼ばれる爺指揮者は大勢いるが、将来、巨匠と呼ばれる初の婆指揮者はきっとシモーネ・ヤング。
●ネマニャ・ラドゥロヴィチは最強に強まって髪型が大爆発していた。足細。スターのオーラを発散して登場。舞台に姿を見せるだけでみんなネマニャに目が釘付け。鮮烈で喜びにあふれたブルッフに場内大喝采、さらにアンコールでのパガニーニのカプリース超絶技巧特盛バージョンではこれでもかというくらいのテクニックで客席を沸かせた。単にうまいだけでなく、客席ものせて一体となってヒートアップするのがネマニャならでは。ソリストのアンコールでオーケストラの楽員たちがあんなに喜んでいる様子を見るのもめったにないこと。人をハッピーにする異才というしか。
June 20, 2017