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July 20, 2017

スラットキン&デトロイト交響楽団のチャイコフスキー他

●19日は東京オペラシティでふたたびレナード・スラットキン指揮デトロイト交響楽団。こちらは第5回国際音楽祭NIPPONのなかの一公演で、同音楽祭の芸術監督でもある諏訪内晶子がソリストとして登場。前半に武満徹の「遠い呼び声の彼方へ!」とコルンゴルトのヴァイオリン協奏曲という日米両作品でソロを披露。武満作品でのオーケストラがなんというかカラフルで、この曲に対するイメージが少し変わった。ソロともども豊麗。コルンゴルトはかつてはたまにしか演奏されない曲だったと思うんだけど、近年は盛んに演奏されている感あり。このまま20世紀音楽の基本レパートリーに登録されていくのかも。
●後半はチャイコフスキーの交響曲第4番。強力なブラスセクションあってこその選曲なんだろう。すっかり手の内に入った曲のようで、ピカピカに磨き上げられたブリリアントなチャイコフスキー。この湿度の低い感じのカラッとしたサウンドはなんといったらいいのか、重苦しいメランコリーなんて目じゃないよといった潔さ。スラットキンも自身のオーケストラを率いるとあって、細かな強弱の変化やテンポの揺らし方など演出が効いていて、日本の楽団に客演するときとは一味違ったテイスト。この曲、第3楽章から第4楽章に間髪入れずに続ける指揮者は多いが、スラットキンは第2楽章と第3楽章をつなげて、第4楽章に入る前に一呼吸入れたのがおもしろい。フィナーレは壮麗でパワフル。
●わき上がる客席にこたえて、アンコールは一昨日と同じ菅野よう子「花は咲く」とフェリックス・スラットキンの「悪魔の夢」。後者でスラットキンが手拍子を求めるのも同様。開放的な楽しい気分で締めくくられた。スラットキンに促されて楽員が袖に引っ込み始めると、ささっと拍手が止んでみんな帰りだす。ドワッと盛り上がって、終わったらサクッと帰る。客席までカラッとした雰囲気になっていたのがなんだかおかしい。