●久々にベルリン・フィルのデジタル・コンサート・ホール(DCH)にアクセス。ドゥダメル指揮のドヴォルザーク「新世界より」を視聴。ドゥダメルもだんだん「若者」という感じでもなくなってきた。で、こうして超定番の名曲を指揮すると、やっぱりすごい音が出てくる。精緻でエモーショナル。感情表現の幅が大きく、アーティキュレーションや細かなテンポの動き、楽器間のバランスなどあちこちに個性が刻印されていて鮮度は高い。ドゥダメルはなにを指揮してもドゥダメルの音楽になるみたいなところもあって、端的にいえば濃くてベタ。「精密にコントロールされたシンフォニック演歌」的な印象が自分内に定着しつつあるのだが、だんだんその濃厚さがクセになってきている。そこでタメてほしい!と思ったところでタメてくれて嬉しいみたいな感動あり。近い将来にかつてのロリン・マゼールみたいなポジションに収まる可能性を考えてみる。
●「新世界より」第2楽章、イングリッシュホルンで有名な旋律を奏でるのはドミニク・ヴォレンヴェーバー。彼がソロを吹いている間、となりで一番オーボエのマイヤーが目を閉じて聴き入っている様子にぐっと来る。いや、マイヤーだけじゃない。多くの楽員たちが「この傑作をここで演奏できる喜び」みたいなものに浸っている(ように見える)。管のソロも豪華メンバーぞろいだし、弦を見ればヴィオラならヴィオラ、第2ヴァイオリンなら第2ヴァイオリンっていうひとりの奏者が弾いてるかのように、ぴたーっとピントが合った音が出てきて、まるで室内楽をやってみるみたいに聞こえる。ここまで磨きあげられたオーケストラは地球上にほかにないって気持ちになれる。
August 7, 2017