●11日はミューザ川崎で「フェスタサマーミューザ」のフィナーレコンサート。秋山和慶指揮東京交響楽団、反田恭平のピアノによるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番と交響曲第2番。全席完売、当日券なしで大盛況。
●この日は午前中に公開リハーサルがあり、そちらも見学。予定時間いっぱいを使って、プログラム通りの流れで進めつつ、部分的に細かなところを確認するという流れ。鋭敏でキレのある独奏ピアノにオーケストラも輪郭のくっきりとした演奏でこたえていたのだが、協奏曲が終わって交響曲になるととたんに折り目正しい秋山サウンドに変化するのがおもしろいところ。
●前半のピアノ協奏曲第3番、やはりソロは強烈。リハーサルよりも一段も二段も熱量を込めた演奏で、切れ味鋭いテクニックにピアノから噴煙が上がりそうな勢い。思い切りのよい表現で雄弁だが、まったく感傷に溺れない剛胆でヴィヴィッドなラフマニノフ。反田さんは体つきからしてそうなんだけど、以前よりもパワーというか筋力が増していて、楽器を鳴らしきっているという印象。スピードに加えてパワーもついてきたアスリートのよう。フィジカルでもメンタルでも20代の今だからこその音楽なんだろうと思う。白熱の第3楽章が終わると客席が「ウォーーー」と沸いた。アンコールはモーツァルトの「トルコ行進曲」。曲が始まったとたんに、身構えていた聴衆からドッと笑いが起きた。超絶技巧編曲版じゃないんだけど、にもかかわらず技巧の高さと解釈の独自性は鮮烈。後半の交響曲第2番も客席の熱気が後押しするかのようにエモーショナルな名演に。終楽章の高揚感は音楽祭の掉尾を飾るにふさわしいもの。やっぱり最終日が祝祭的な雰囲気で包まれるといいっすよね、「フェスタ」らしくて。
August 13, 2017