September 14, 2017

ソフィア・コッポラ演出の映画「椿姫」


●映画「ソフィア・コッポラの椿姫」が10月6日(金)よりTOHOシネマズ日本橋にて2週間限定で公開される。これはローマ歌劇場でのヴェルディ「椿姫」公演を映像化した純然たるオペラ映画。映画監督として知られるソフィア・コッポラが初めてオペラの演出に挑戦したことで話題を呼んだ公演で、来年2018年9月にはローマ歌劇場がこのプロダクションを携えて来日公演を行なう。ソフィア・コッポラは「ロスト・イン・トランスレーション」や「マリー・アントワネット」(これは見た)の監督・脚本・製作で大活躍中。父は映画「地獄の黙示録」他で知られるフランシス・フォード・コッポラ。父コッポラはオペラの演出はしていないと思うが(違ったらゴメン)、祖父のカーマイン・コッポラは作曲家であり、NBC交響楽団でフルート奏者も務めていたというから、ソフィアがオペラの演出を手がけても不思議はないだろう。ヴァレンティノの創業者であるヴァレンティノ・ガラヴァーニが衣装を、さらに映画「バットマン ビギンズ」や「ダークナイト」を手がけたネイサン・クロウリーが舞台美術を担当したということで話題性十分。
●で、キャストはヴィオレッタがフランチェスカ・ドット、アルフレードがアントニオ・ポーリ、ジェルモンがロベルト・フロンターリ。指揮はヤデル・ビニャミーニで日本では新国立劇場で「アンドレア・シェニエ」を指揮したり、ネトレプコのコンサートで共演したりしている人。事前に映像を見る機会を得たが、アントニオ・ポーリの甘い声が印象的。フランチェスカ・ドットは強い意志をみなぎらせたキツめのヴィオレッタ。主役ともいえるソフィア・コッポラの演出は、意外にもというべきだろうか、オーソドックスな正攻法による「椿姫」。ひょっとしてポップでガーリーなヴィオレッタとかあるのかなと思っていたら、格調高いテイストだった。初めて「椿姫」を見る人でも安心。
●「椿姫」って、アルフレードのぼんくらぶりがたまらない。あの経済観念のなさときたら。でも若いというか、幼いっていう描写なんすよね。こんなダメ男に限って、賭け事では大勝ちするところにリアリティを感じる。プロヴァンスのドサ健と呼びたい。

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