●12日は新国立劇場のホワイエで「フィデリオ」制作発表記者会見。前日の「神々の黄昏」に続いて、また初台へ。新制作「フィデリオ」は開場20周年記念特別公演として2018年5月から6月にかけて上演される。演出はカタリーナ・ワーグナー。リヒャルト・ワーグナーのひ孫にあたり、バイロイト音楽祭総監督でもある。指揮は飯守泰次郎芸術監督。写真は左よりドラマツルグのダニエル・ウェーバー、演出のカタリーナ・ワーグナー、フロレスタン役のステファン・グールド(現在上演中の「神々の黄昏」でジークフリートを歌っている)、指揮の飯守泰次郎。公演ではリカルダ・メルベート(レオノーレ)、ミヒャエル・クプファー=ラデツキー(ドン・ピツァロ)、妻屋秀和(ロッコ)、黒田博(ドン・フェルナンド)らが出演。
●大きな見どころとなりそうなのは演出。具体的なネタバレは避けるとしながらも、斬新なアイディアが採用されることが示唆されていた。ダニエル・ウェーバー「新しい視点で登場人物の関係をもう一度見直したい」。カタリーナ・ワーグナー「(このオペラでテーマとなる)自由についての認識や、自分の置かれた環境をどう認識するのか、同じものを見てどう理解するかは人によって違う。このオペラではレオノーレは女性でありながら男性として登場する。レオノーレを男性として見ることについてもいろいろな見方がありうる」。
●飯守泰次郎「『フィデリオ』は欧米の劇場でも節目に上演される特別な作品。自由、平等、博愛といったベートーヴェンのテーマが凝縮されている。ベートーヴェンはワーグナーと並んでこれまで自分がもっとも深く掘り下げてきた作曲家。『フィデリオ』には声楽的というよりは器楽的なところもある難しい作品だが、望みうる最高のフロレスタンであるグールドさんをはじめ、すばらしいキャストが集まった」。グールド「フロレスタンは2006年にも新国立劇場で歌っている。今回はより心理的な舞台となる。以前よりも一段と発展させたフロレスタンを歌えるのを楽しみにしている」
October 13, 2017