●17日は大久保の東京交響楽団クラシック・スペース100でジョナサン・ノット&東京交響楽団の「シーズン5」2018/19シーズンラインナップ記者会見。会見場には配布資料を乗せた譜面台と椅子が並べられ、プレス陣がそこに座る方式。もう5シーズン目というのが驚き。大野楽団長「ノット監督のもと、私たちは幸せな日々を過ごしている。プレーヤーたちからも幸せだという声が聞こえる。最強で無敵の監督を迎えた。自分も以前はプレーヤーだったが、かつては指揮者とオーケストラには壁があったように感じる。オーケストラが先生の言うことを聞くといった感じで、ときには『それはどうかな?』と思うようなことであっても、先生が言うのだからと思って聞いていた。しかし、ノットにはみんなといっしょに音楽を作っていこうという意識がある」
●新シーズンのラインナップはこちらに。今回も非常に意欲的なプログラムが並んでいる。ノット指揮のプログラムからいくつか注目公演を選んでみると、まずは2018年のマーラーの交響曲第10番アダージョとブルックナーの交響曲第9番を組み合わせた、ダブル未完成プロにしてダブル最後の交響曲プロ。ノット「指揮者にはマーラーが得意な人とブルックナーが得意な人に分かれる傾向がある。自分はどちらもいっしょにやりたいと思い、ふたりの未完の曲を並べた。曲順をどうしようか、迷っている。マーラーを演奏して、休憩をはさんでブルックナー。これが普通だ。しかし、ブルックナーを演奏して、2分ほどのインターバルをはさんでマーラーを演奏するという方法もありうる」
●2018年12月はヴァレーズの「密度21.5」(無伴奏フルート)と「アメリカ」、R・シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」。ノット「ヴァレーズの音楽の純粋さはハイドンに近い。コンサートをまず無伴奏のフルートで始めて、次に巨大編成の曲を続ける。今シーズンはオーケストラの楽員のソロを聴いてもらえる曲をたくさん選んだ。この日はフルートと、R・シュトラウスでヴァイオリンのソロを聴ける」。2018年11月はブラームスのピアノ協奏曲第2番とラフマニノフの交響曲第2番。ブラームスではチェロのソロがあることも選曲理由のひとつに挙げられていた。ブラームスのピアノ独奏はヒンリッヒ・アルパースという人。ノットがバンベルクで聴いたときに「突き抜けるような感動があった」という。ほかにエルガーのオラトリオ「ゲロンティアスの夢」や、モーツァルトの「フィガロの結婚」演奏会形式も楽しみ。
●ノット以外の指揮者陣では、飯森範親によるヘンツェ「交響的侵略 マラトンの墓の上で」とウド・ツィンマーマンのオペラ「白いバラ」演奏会形式という攻めたプログラムが目をひく。客演指揮者陣ではウルバンスキ指揮によるショスタコーヴィチの交響曲第4番、ダン・エッティンガーによるベルリオーズ「幻想交響曲」も。
●東響とサントリーホールによる「こども定期演奏会」(小学生以上対象)にジョナサン・ノットが初登場するのも興味深い。こういった公演に音楽監督が登場すると、シリーズ全体にかける意気込みが一段と強く伝わってくる。
October 18, 2017