●思い切り旧聞なのだが、先月発表された英グラモフォン誌のGramophone Awards 2017を振り返っておこう。通販&ダウンロード販売サイトのPresto Classicalの一覧が見やすい。Recording of the Yearはイザベル・ファウストのヴァイオリン、ジョヴァンニ・アントニーニ指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコによるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲全集(Harmonia Mundi)。カデンツァをアンドレアス・シュタイアーが書いているのが話題。
●Artist of the Yearはワシリー・ペトレンコ。キリルじゃなくて、ワシリーのほう。指揮者で「ペトレンコ」といえば、今やベルリン・フィル次期首席指揮者のキリルのほうが先に思い出されるが(来日も果たしたことだし)、ほんの少し前までは日本ではワシリーのほうが知名度が高かったんじゃないだろうか。ロイヤル・リヴァプール・フィルの首席指揮者なのでイギリスで注目度が高いのは自然なことだが、なにせキリルが録音に関心が薄いためレコーディングの世界では断然ワシリー優位。ふたりともこれからますます活躍するだろうから、今後「ふたりのペトレンコ」問題はややこしくなりそう。しかもワシリーがヴァシリーとで表記が揺れてて、それがまた厄介。
●オーケストラ部門はジョヴァンニ・アントニーニ指揮イル・ジャルディーノ・アルモニコのハイドン・シリーズ第4弾 Il Distratto で、交響曲第60番「うつけ者」他(alpha)。アントニーニがここでも受賞。室内楽部門はシレジア弦楽四重奏団によるバツェヴィチの弦楽四重奏全集(Chandos)が選ばれているのが目をひく。受賞効果でどれくらい売れるものなんすかね。
October 25, 2017