●11日夜はNHKホールでマレク・ヤノフスキ指揮NHK交響楽団。前半がヒンデミットの「ウェーバーの主題による交響的変容」と「木管楽器とハープと管弦楽のための協奏曲」、後半がベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」。東京・春・音楽祭で圧倒的なワーグナーを聴かせてくれたコンビが定期公演でも実現。
●断然おもしろいのはヒンデミットの「木管楽器とハープと管弦楽のための協奏曲」。ソリストがフルート(甲斐雅之)、オーボエ(茂木大輔)、クラリネット(松本健司)、ファゴット(宇賀神広宣)、ハープ(早川りさこ)という陣容。この曲、たぶん初めて聴いた。バロック音楽的というかコンチェルト・グロッソ的な意匠に、ヒンデミットの職人芸が醸し出す淡々とした運動性とユーモア、乾いたリリシズムが込められる。終楽章にメンデルスゾーンの「結婚行進曲」が織り込まれていて、作曲者から妻への銀婚式プレゼントになっているという趣向も、なんだか頑固オヤジが照れくさそうにやってるみたいな味わいがあって吉。うっすらと類似性を感じて、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」とどっちが先なんだっけと思って調べてしまった。バルトークは1943年/45年改訂、ヒンデミットは1949年と少しだけ後。ひとつだけ惜しいのは、この曲はもっと小さな空間向けの作品なのかなとも思う、しょうがないけど。
●後半のベートーヴェン「英雄」は木管倍管編成。かつてのN響を思わすような重厚なサウンド。精悍で格調高く、緊密。
November 14, 2017