●評判のダーヴィト・アフカムがN響に初登場。35歳、ドイツ生まれ。なぜかインド系のように記憶していたけど微妙に違っていて、お父さんがイラン生まれでインド育ち、お母さんがドイツ人なのだとか。長身痩躯。以前に一度聴いたのはロンドン交響楽団とのキッズ・プログラムみたいな公演だったので、ほとんど初めて聴くようなもの。盛りだくさんの楽しいプログラムで、前半にリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番(小山実稚恵)、後半にシュトラウス「ばらの騎士」組曲、ラヴェルの「ラ・ヴァルス」。選曲が官能的というか華やかな割には、アフカムの指揮ぶりは生真面目な印象。シュトラウスの両作品はパーヴォとのレコーディングがまだ記憶に新しいところではある。ダイナミックな「ラ・ヴァルス」が爽快。小山実稚恵さんは細部まで彫琢された円熟のモーツァルト。軽快さと情熱の絶妙のバランス。ソリスト・アンコールにショパンのマズルカ イ短調op67-4
●少し前にN響の来季ラインナップが発表されたが、攻めたプログラムが多くてびっくり。ブロムシュテットはついにステンハンマルの交響曲第2番を振ってくれる。パーヴォのシベリウス「クレルヴォ」やプロコフィエフの交響曲第6番、ニールセンの交響曲第2番「4つの気質」、広上淳一指揮のコープランドのオルガン交響曲(鈴木優人)とアイヴズの交響曲第2番、エド・デ・ワールトのジョン・アダムズ「ハーモニーレーレ」、山田和樹の平尾貴四男&矢代秋雄&シェーンベルク、等々。フルシャのヤナーチェクの「シンフォニエッタ」&ベルリオーズの「クレオパトラの死」(ヴェロニク・ジャンス)、ソヒエフのベルリオーズ「イタリアのハロルド」(佐々木亮)&グリエールのハープ協奏曲(メストレ)といったプログラムも。これは楽しみ。かつてない刺激的なシーズンになりそうな予感。
●ちなみにパーヴォは2019年の2月9日と10日にハンス・ロットの交響曲第1番を振るんだけど、2月9日(土)はなんと川瀬賢太郎指揮神奈川フィルも同じ曲を演奏するという、まさかのハンス・ロットかぶり。ただ、神奈川フィルは昼の公演、N響は夜の公演で重なってはいない。ということは、ハンス・ロットの交響曲第1番を一日に2回聴くこともできそうなのだが、さて。
January 19, 2018