●17日はすみだトリフォニーホールでピョートル・アンデルシェフスキのピアノ・リサイタル。プログラムはうれしいことにオール・バッハ。事前発表では平均律クラヴィーア曲集第2巻から前奏曲とフーガ6曲(番号未定)、イギリス組曲第3番および同第6番。当日会場に行ってみると、平均律は第1番ハ長調、第17番変イ長調、第8番嬰ニ短調を弾くと掲示されていて、なんだかプログラムが短めだったんだけど、アンコールを弾く余地を多めに残してあると思えば吉(実際そうなった)。というか、アンデルシェフスキ、公演数日前にインフルエンザにかかってロンドンの公演をキャンセルしたという情報が目に入っていたので、無事公演が開催されて安堵。
●前半、平均律が終わったところで、拍手を待たずにそのままイギリス組曲第3番へ。後半のイギリス組曲第6番が白眉。ホールの大きさゆえか、予想よりも一段身振りが大きく、次第に白熱するバッハ。端正な造形美と抒情性の絶妙のバランスは期待を裏切らず。アンコールはまずはベートーヴェンの6つのバガテルop126-1で始まった。これは前回聴いた彼のリサイタルでも同じようにアンコールで弾かれた曲で、簡潔でさりげなく、きまぐれな曲想がアンデルシェフスキにぴったり。そのときは、そのまま同じバガテルの第2曲、第3曲と続けてくれたので同じ展開を予想したが、続いてショパンのマズルカop59-1。がらりと雰囲気が変わる。で、そこからヤナーチェクの「草陰の小径」第2集をまるまる弾いてくれた。天国的な「第3部」に。
March 19, 2018