March 20, 2018

浦和レッズvsマリノス、ハイリスク戦術は続くよ

トリコロール●ポステコグルー新監督を迎えたマリノス。開幕戦でも書いたように、エキサイティングすぎるハイリスク戦術を採用した結果、ここまでリーグ戦0勝1分2敗と違った意味でエキサイティングな順位に沈んでしまった。どんな戦術か、おさらいしておこう。前線からプレスをかけ、バックラインはハーフラインあたりまで上げる。後ろに広がる広大なスペースはキーパーが実質スイーパーとなってカバー。両サイドバックは高い位置をとり、なおかつ内側にどんどん入って攻撃参加。キーパーは相手が高い位置にいてもお構いなしでディフェンスラインにボールを渡し、細かくパスをつなぎながら攻撃を開始する。夢のフットボールではあるが、高い技術が前提になっているので、小さなミスがいちいち決定的ピンチにつながる。
●で、18日はアウェイの浦和レッズ戦。なんと、勝ってしまった。レッズ 0-1 マリノス。伝統的にレッズ相手には分がいいマリノスだが、それは大体フィジカル勝負をするからであって、まさかこの戦い方で勝てるとは。結果を知らずにDAZNでオンデマンド再生したが、ポステコグルー監督はここまでの結果に右往左往することなく、開幕戦と同様の戦術で勇敢に戦った。マリノス側の選手だけを記しておくと、GK:飯倉-DF:松原、中澤、ミロシュ・デゲネク、山中-MF:扇原、バブンスキー(→吉尾海夏)、天野-FW:遠藤渓太、ユン・イルロク(→イッペイ・シノヅカ)-ウーゴ・ヴィエイラ(→伊藤翔)。スコアレスの緊迫したゲームが続くなか、後半36分、ペナルティエリア付近まで中に入った山中から、ウーゴ・ヴィエイラにショートパス、ウーゴ・ヴィエイラは相手に体を寄せられながらも競り勝って、ゴールに蹴り込んだ。ちなみにこの日もキーパー飯倉はよく走っていて、走行距離6.8キロ。
●さて、ポステコグルー監督の戦術は成功したんだろうか。勝ったんだからまあ成功したといえばそうなんだが……実は自陣でのミスからピンチを招くことたびたび。レッズになんども決定機を与えていた。一度などは、キーパー飯倉の超前進守備を見越してウルトラロングシュートを蹴られてあわやの事態に(枠に飛んでいれば入っていたのでは?)。相手はマリノスがどう戦うかを知っていて、自陣前でのミスを誘発させようとプレスをかけてくる。で、実際、ミスもするわけだ。ただ、事は単純ではない。そうやってレッズの選手が前がかりになると、後ろにはスペースができているので、マリノスとしてはそこを突いて最後列からパスをつなげてチャンスを作りたいわけだ。隙を見せながら、隙を突くというハイリスク戦術。肉を切らせて骨を断つみたいなところがあるのだが、正直なところ、1つのチャンスを得るために相手に2つのチャンスを与えているような感もあって、むしろ骨を断たせて肉を切るみたいなことになっているんじゃないかという危惧はある。でも、祝、ポステコグルー監督、リーグ戦初勝利。
●たとえ降格争いに巻き込まれることになっても、この戦術を貫徹してほしい。抜群のおもしろさ。

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