April 3, 2018

東京・春・音楽祭2018 名手たちによる室内楽の極 コルンゴルト 弦楽六重奏曲

●29日は東京文化会館小ホールで東京・春・音楽祭「名手たちによる室内楽の極」。長原幸太と小林壱成のヴァイオリン、鈴木康浩と生野正樹のヴィオラ、上森祥平と伊藤文嗣のチェロによる弦楽六重奏曲の一夜。プログラムはベートーヴェンのセレナード ニ長調op.8、シューベルトの弦楽三重奏曲第2番変ロ長調、コルンゴルトの弦楽六重奏曲ニ長調。もう猛烈にうまい。しかも対話性に富み、オープンな雰囲気で楽しげ。前半のクラシカルな演目だけでも聴きごたえ十分だったが、やはり後半のコルンゴルトが貴重。初めて聴けたけど、後期ロマン派のスタイルで書かれた円熟味すら感じる作品で、とても10代の若者が書いたとは信じられない。神童中の神童といった感じだが、同時代の人々はどんなふうに彼の存在を受け止めていたのか、後にたどる運命を思うとなんとも複雑な気分になる。弦楽六重奏という編成なので聴く機会はどうしても少ないが、そうでなければずっと人気があってもおかしくないはず。アンコールにヨハン・シュトラウス2世(佐々木絵理編)の「雷鳴と稲妻」。これがハジけまくった演奏で痛快。6人だけなのに、どんなオーケストラにも負けないほどの強烈な稲妻。
●だれだったっけ、コルンゴルトのヴァイオリン協奏曲は以前は限られた人だけが弾く曲だったのに今やみんながこぞってとりあげる人気曲になったと言ってたヴァイオリニストは。ルノー・カプソン?(うろおぼえ)。たしかに演奏機会はずいぶん増えたと思う。レパートリーのはやりすたりは案外あるものなので、弦楽六重奏曲だってどうなるかわからないかも。

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