●コーヒーを豆で買う派にとって悩ましいのが、ミルをどうするんだ問題。手動にするのか電動にするのか、プロペラ式なのかグラインダー式なのか等々、やたらと選択肢が豊富にある一方で、これといった定番も見えづらい。複数の機種を比較するチャンスも少ない。自分も長年いろんなタイプを使ってきたのだが、先日、カリタのコーヒーミル ナイスカットGを導入したところ、これがよくできていて感心してしまった。
●まず、コーヒーがおいしい(とても)。前に使っていたミルでは焙煎してまもない鮮度の高いコーヒー豆を使っても、どうもぼんやりとした曖昧な味で、微妙なエグミが気になっていたのだが、これが一気に解決。いわゆるチョコレートのような甘味、ナッツのような香りがしっかりと味わえる。もうひとついいと思ったのはメンテナンス性。形状を見るとなんだか身構えてしまうような「業務用っぽさ」があるが、マニュアル通りにやってみるとぜんぜん掃除がめんどくさくない。あと挽いた粉を受ける容器がステンレス製になっていて、微粉が残りにくい。プラスチックの容器だと静電気で微粉が付きまくって苦労するんすよね。
●で、どうしてコーヒーの味は挽き方によって変わってくるのかというと、豆を均一のサイズに挽く性能が高ければ、微粉の割合が少なく、エグミが出にくいということのよう。主観の問題だけにおいしさとは思い込みだけで語られがちな話題だが、コーヒー関しては化学的なアプローチから迫った「コーヒーの科学」(旦部幸博著/講談社ブルーバックス)という名著がある。この本でも豆を挽いた際の微粉の量がコーヒーの味を変えることは指摘されていて、なにもミルを買い直さなくても確かめる方法はあって、挽いた豆を茶こしやふるいにかけて微粉を除いて粉の大きさをそろえてやれば驚くほど味が変わるという。
●この本のハイライトは「透過抽出の基本原理」の項あたりで、ドリップ式の入れ方をクロマトグラフィーとみなして、お湯の注ぎ方で味が変わる原理を説明しているあたり。
April 5, 2018