●12日は東京文化会館小ホールでエリーザベト・レオンスカヤのシューベルト。東京・春・音楽祭での6日間にわたるシューベルト・チクルスからの一公演。この日のプログラムはピアノ・ソナタ第7番変ホ長調、同第14番イ短調、同第20番イ長調。上野はすっかり桜も散って、前回訪れたときよりもぐっと落ち着いた雰囲気に。レオンスカヤのシューベルトはベテランの枯れた味わいなどとはほど遠く、いまだ力強く、ベートーヴェンばりの剛悍さ。こうして3曲のソナタが並ぶと、第20番の飛躍的な完成度と独自性に圧倒されるばかり。この第20番とか第21番で描き出される大きくて閉じたシューベルトの世界って、いつ聴いても心動かされるし、同時になんだか気恥ずかしい。シューベルトが人並みに長生きしていたら、これらに続いてどんな曲を書いていたんだろう。同じく早世したモーツァルトの「ジュピター」なんかを聴いても感じるけど、これに続く世界がぜんぜん想像できない。もっとも、仮にベートーヴェンが交響曲を3曲書いた時点で世を去っていたとしても、やっぱり同じようにそこが終着点だと感じただろうけど。
●ソナタ第20番終楽章の冒頭主題(第4番第2楽章でも使われている)って、いかにも歌詞がついていそうな曲に聞こえるけど、歌曲では使われていないんすかね。あるいはなにか元ネタがあったりするんだろうか。
April 13, 2018