April 18, 2018

東京武蔵野シティFC対FC今治@JFL

東京武蔵野シティFC対FC今治
●15日はムサリクこと武蔵野陸上競技場で、JFLの東京武蔵野シティFC(旧横河武蔵野FC)対FC今治。JFLとはJ1、J2、J3の下のカテゴリーで、日本サッカー界の4部リーグ(別の言い方をするとアマチュアの最高峰)。東京武蔵野シティFCというネーミングはなんだかかえって田舎っぽい感じだが、かつての横河電機サッカー部がクラブチーム化されたもの。監督はクラブOBの池上寿之。
●一方、FC今治はサッカー界に旋風を巻き起こしているチームで、オーナーは元ニッポン代表監督の岡田武史。理想のサッカーを求めて、四国リーグからスタートしてJリーグを、さらには世界を目指すという、岡田武史だけが挑戦可能なリアル「サカつく」。現在、JFLに昇格して2シーズン目。以前、岡田オーナーは「JFLは1シーズンで通過する」と豪語していたが、そうは問屋が卸さない。昨シーズンは通算6位。そして、昨シーズン、ホームで武蔵野は今治をコテンパにやっつけた(←死語)。アウェイではやられたような気もするが、それはまあいい。世間的には岡田オーナーの夢実現プロジェクトは共感と期待をもって応援されていると思うが(というかワタシだって応援している)、いざJFLで同じ土俵に立てばこのクラブの見え方はまるで違ってくる。JFLなのにスポンサーには超大手企業がずらずらと名前をそろえ、監督には元U-17日本代表監督の吉武博文がいて、選手にはJリーグ経験者が何人もいる。そりゃあ、いい選手も獲ってこれるだろうよ。くらくらするほど恵まれたクラブで、こちらとは条件が違いすぎるんじゃないかという気分にはなる。
●で、試合だ。昨季とはお互いにメンバーも変わっているが、やはり今治の選手は質が高い。ボールを止める、蹴るという基本的な動作から差を感じる。案の定、ボールポゼッションは圧倒的に今治。武蔵野は体を張って守るが、せっかくボールを奪っても、そこから前線にボールを収められないので、すぐに奪い返されてまた守るという厳しい展開。なんども決定機を作られる。こちらの決定機は1回かせいぜい2回。それなのに0対0で試合がずっと進んだ。そしてアディショナル・タイム、もう笛が吹かれるだろうというタイミングでまさかの事態が。今治のディフェンスの選手がバックパスをミスして、キーパーの頭上を越える痛恨のオウンゴール。1対0で、またも武蔵野が勝ってしまった。内容的に完敗だっただけにいくぶん後味は悪いのだが、なにせ相手はJFL離れしたリソースを誇る今治だから、これくらいのラッキーがあっても許されるかもしれない。ハハハ、また勝ったぜー。岡田武史のリアル「サカつく」はますますエキサイティングになったのではないか。応援してます、岡田さん(対武蔵野戦以外は)。
●この試合、実は今治のディフェンダーにツエーゲン金沢から移籍してきた太田康介選手がいた。彼は元武蔵野の主力選手。かつて武蔵野ではボランチとして中盤で活躍していて、JFL離れした選手だなあと思っていたら、町田ゼルビアに移り、さらにツエーゲン金沢へと移籍した。こんなふうにJFLからステップアップしてJリーガーになれる選手はかなり少ない。で、今季は今治の選手になってJFLに帰ってきた。35歳で現役は立派。
●さて、ムサリクには電光掲示板みたいなものは一切ないので、見逃したプレイはもう見られない。テレビのニュースでもやってくれないから、現場で見たものがすべて……だったのだが、なんと、FC今治はハイライト映像を収録して公開してくれているではないの! すごい、うらやましすぎる。ワタシはホーム側からしか試合を見ていないわけだが、アウェイ側からはこんなふうに見えるんだ。でも、すばらしい雰囲気だと思わないっすか。これが4部リーグなんすよ。Jリーグが発足した当時、地域に根差したクラブの大切さが理念としてうたわれていたと思うけど、それは着実に現実のものになっている。観客数は1000人強で盛況。ハリルホジッチがどうとか西野朗がどうとかいう話も大切なのだが、実際にいつでも生で見れるのは近場のクラブ。その裾野の広がりがどれほど大きくて豊かであるかを、この映像は伝えてくれる。

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