●28日は東京芸術劇場で読響の次期常任指揮者セバスティアン・ヴァイグレの記者会見。既報の通り、シルヴァン・カンブルランの後を継いで、2019年4月よりヴァイグレが読響第10代常任指揮者に就任する。最初の任期は2022年3月までの3年間。ヴァイグレは2008年からフランクフルト歌劇場の音楽総監督を務めている。オペラでの経験が豊富で、少しずつコンサートを振る回数が増えてきて「もう少しコンサートを振る回機会を増やしたい」と思っていたところに読響からのオファーが届いたとか。ヴァイグレ「読響常任指揮者はとても名誉ある肩書。読響との仕事は、仕事というよりも楽しみだと思っている。これまでになんどか共演しているが、楽員のみなさんがいつも100%の力で向き合ってくれる。そしてスポンジのようにこちらの求めることを吸収する。多くの楽員がヨーロッパ、ドイツで勉強しており、海外で学んだことを自分の楽団に持ち帰っているという印象を受けた」「読響はサウンドのポテンシャルが高いオーケストラ。私が目指すのはその作品にふさわしいサウンドを作ること」
●読響側からは「保守本流のドイツ・オーストリア音楽のプログラムをできる人、そしてオーケストラ・ビルダーとして演奏水準を高められる人」としてヴァイグレを選んだそう。また前回共演時が好評を博し、とりわけ楽員からの評価も高かったという。最初のシーズンでは2019年5月に3プログラム(ヘンツェの7つのボレロ、ブラームスの交響曲第4番、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」他)、その後6月に東京二期会主催公演で「サロメ」、9月に3プログラム(ハンス・ロットの交響曲、マーラーの交響曲第5番他)、2020年3月に2プログラム(ブラームスの交響曲第1番、シュトラウスの「英雄の生涯」他)を指揮する。
●まだ具体的にはなにも決まっていないが、たとえばフランクフルト歌劇場との協力でフランクフルトのプロダクションを演奏会形式で持ってくるといったアイディアもある模様。また、新作の委嘱も考えている、と。
●ヴァイグレが来日するのは今回でなんと21回目(!)なんだとか。初来日は80年代にシュターツカペレ・ベルリンのホルン奏者として。ホルン奏者時代にソリストとしても来日しており、その後、指揮者となってからサイン会でホルン奏者時代のCDを持ってきてくれるお客さんがいたという嬉しい経験も。日本は大好きだというヴァイグレ。「日本人のプロ意識の高さ、裏方の人々の仕事のレベルの高さ、そして各地のホールのクォリティの高さには毎回感動する。残念ながら、ドイツではそうではない」
●実は今回の会見、当初は先々週に予定されていたのだが、急病で入院することになり、この日に延期になった次第。「盲腸のため、今回の来日は10日間予期せぬ延長になってしまった」。もうすっかり元気ということだが、まさかそんなことになっていたとは。
May 29, 2018