●いよいよモスクワのルジニキ・スタジアムでワールドカップ2018が開幕。FIFAランキングで大会参加国中最低であることから史上最弱の開催国とも呼ばれるロシアだが、相手はサウジアラビア。こちらは参加国中下から2番目。つまり最弱対決だ。しかし、そうは言ってもこれはワールドカップ、プーチン大統領やFIFA会長の挨拶ではじまる華やかな開幕戦であり、このお祭り感は格別。
●サウジアラビアは代表監督人事が迷走した結果、昨年から元チリ代表監督のピッツィ監督を招聘。堅守速攻のイメージが強いが、始まってみると細かいパスを交換するポゼッション重視のスタイルに。ロシアはもちろんハイテンションでキックオフ直後から激しいプレッシャーをかける。前半12分、ロシアはコーナーキックの後の流れで左サイドからゴロビンがクロスを入れ、これにがら空きのファーサイドでガジンスキーが頭で合わせて先制ゴール。サウジは足元の技術は高いのだが、こねくり回すようなスタイルがかえってミスを増やし、不用意に相手にチャンスを与えてしまう。もっとシンプルなプレイをしたいところ。
●43分、サウジのやや怠慢な守備から手薄の守備陣を突かれて、チェリシェフが決めてロシアに追加点。サウジはここから精神的な強さを発揮するチームではないことをアジアの戦いでワタシたちは知っている。案の定、集中力を欠いてしまい、後半は大崩れ。後半26分、途中交代で入ったロシアの長身フォワード、ジュバがスローインの流れからクロスに頭で合わせて3点目。アディショナルタイムに入り、後半46分はチェリシェフが左足のアウトにかける技巧的なシュートで4点目、もう笛が鳴る直前の後半49分にゴール前のフリーキックをゴロビンが直接入れて5点目。サウジは次々と余計な失点を喫してしまった。開催国ロシアが5対0で勝つというのは、大会としては理想的なスタートかもしれない。
●しかし、前回大会でも弱さが際立っていたアジア勢が、今回いきなり大敗してしまったわけで、まあ、これはがっかりする。サウジから見ると、大会唯一の「格下」だったのに。ポゼッションは60%で相手を大きく上回った結果の惨敗。ピッツィ監督によるモデルチェンジが間に合っていない。カミソリのような鋭いカウンターアタックを見たかった。
ロシア 5-0 サウジアラビア
娯楽度 ★
伝説度 ★★
(満点は星5つ)