●グループBはだれがどう見ても結果が見えているというポルトガル、スペイン、モロッコ、イランの2強2弱。2強を脅かすためには、モロッコ対イランはお互いにどうしても勝点3が欲しい試合。モロッコはアフリカ勢ではあるが、選手のほとんどはフランスやオランダなど国外で生まれ育った選手。アフリカなんだけど実質「もうひとつのヨーロッパ」という、ワールドカップあるある状態。一方、イランはアジアの最強国。名将ケイロス監督が8年も率いているという継続性が実を結んで、アジア予選ではぶっちぎりの1位、異常なまでに失点が少ない。
●で、試合が始まってみるとモロッコが猛然と攻めてきて、イランはたじたじ。アジアでは鉄壁の守備がワールドカップではこんなにも脆く見えてしまうのか……。特にモロッコは左サイドからの攻撃が強い。ところが、前半の途中から次第にイランのカウンターアタックが冴えはじめ、すっかりとイラン・ペースの試合になってしまう。お互いに体と体がガツンとぶつかる音が聞こえてくるような激しい試合。
●両者ともに高い位置でボールを奪ってカウンターを決めたいという展開。前半42分にイランに惜しい決定機。後半はほとんどイラン・ペース、後半34分、モロッコに決定機が訪れるもイランのキーパー、ベイランバンドがスーパーセーブ。終盤はともに足が止まって魂の消耗戦になった。長いアディショナルタイムがあり、後半50分、イランは好位置でフリーキック。ハジサフィがクロスを入れると、中に飛び込んだ選手の頭にドンピシャでゴール! いや、スローで見ると、これはモロッコの選手のオウンゴールだった。イランが勝点3をゲット。前回大会1勝もできなかったアジアだが、エースがようやく勝利をもぎ取った。イランの勝利は20年ぶり。つぶし合いながら、熱いバトルという点で見ごたえあり。
●同じグループBでも世界の大半が注目しているのはこちらのイベリア半島ダービー、ポルトガルvsスペイン。ヨーロッパ・チャンピオン対元世界チャンピオン。クリスチャーノ・ロナウドをはじめスターたちがずらり。スペインには楽天、じゃない、神戸にやってくるイニエスタが先発。ポイント2倍、メール・マガジン増量級の華麗なテクニックを披露。これが欧州トップのスタンダードだというハイレベルな試合で、互いにオープンな戦いを仕掛けたことから、エキサイティングなゲームになった。クリスチャーノ・ロナウドはハットトリック。3点目のフリーキックは完璧。スペインはエースのジエゴ・コスタが2点、ナチョ・フェルナンデスが1点。ジエゴ・コスタの1点目が圧巻で、前線で1対2の不利な状況ながら強引なドリブルとシュートフェイントで相手を交わして右足で叩き込んだ。怪物。華やかな打ち上げ花火のような3対3。ワールドカップでこれだけ景気のいい試合はめったに見れないが、2強2弱がわかり切っているからこその打ち合いか。アジア勢としては、この予定調和をイランにぶち壊してほしいものである。
モロッコ 0-1 イラン
娯楽度 ★★★
伝説度 ★★★
ポルトガル 3-3 スペイン
娯楽度 ★★★★★
伝説度 ★★