●前夜のデンマーク対オーストラリアは1対1で引分け。アジアが勝点1をゲット。後半途中から見た限りでは、オーストラリアが勝つべきゲームだったと思う。オーストラリアはフランス相手でもそうだったが、内容に結果が追い付いていない感じ。ここまではアジアがまずまず健闘している。
●で、フランス対ペルー。フランスは若い選手が大勢いて、しかもビッグクラブ所属の選手だらけのタレント軍団。ただ前のオーストラリア戦にしても、このペルー戦にしてもそこまでの強さは感じない。優勝候補の一角だからこそ、大会後半にコンディションのピークを持っていくということなのか。一方のペルーは欧州組もいるが、北中南米組が主体というアメリカ(大陸)色の強いチーム。個の能力はかなり高くて、フランス相手でも五分で戦う。特に右サイドが強烈で、スピードのあるカリージョとアドビンクラのコンビでなんどもフランスの守備を崩していた。
●試合は前半34分、ショートカウンターからエムバペのゴールでフランスが先制。ペルーは後半から選手をふたり替えたが、かえってボールを持てなくなってしまった。質の高いチャンスは作れるものの、最後の決定力を欠いてゴールならず。フランスがうまくゲームをコントロールして逃げ切った。格段によい内容ではないのに2連勝できたのは大きい。3戦目は控え選手を起用してモチベーションを高めながら、主力を休ませることができる。決勝まで進むためには理想的な展開では。
●一方、アルゼンチン対クロアチア。アルゼンチンはタレントの宝庫にもかかわらず、極端にメッシ頼みのチームになっていて、前の試合でアイスランド相手に引分け。スター選手たちが難しい局面になるとメッシにお任せするという、やや珍妙なサッカーになっている。草サッカーの素人集団に経験者がひとり入ったチームに似てる。普通のチームならエースになる選手たちが、メッシのために滅私奉公するという使い古されたダジャレを言いたくなる極寒のフットボール。クロアチアはナイジェリアに勝ってモチベーションは上がっている。もともとこちらもラキティッチやモドリッチらが顔をそろえる実力者集団。前半はクロアチアが押す展開ながら拮抗した戦いに。
●事件が起きたのは後半8分。アルゼンチンのキーパー、カバジェロがバックパスを蹴り返そうとして痛恨のキックミス、ボールはふわりと不思議な軌道を描いてレビッチの目の前に。レビッチはこれを華麗なボレーでゴールに蹴り込んで先制ゴール。嘆きながら崩れ落ちるカバジェロ。これは事故といえば事故。ただし、クロアチアはカバジェロの足元が弱いと見ていたのか、再三にわたってカバジェロに蹴らせるように前線からプレッシャーをかけ続けていたフシがある。ここからアルゼンチンの怒涛の反撃が始まるべきだったのだが、逆境でまとまれないのがこのチーム。後半35分、ペナルティエリアより手前の中央でモドリッチが、対面するオタメンディを交わして豪快なミドルシュート。これがゴール右側から巻いて突き刺さるスーパーゴール。伝説級のシュートだが、しかしオタメンディの守備が緩慢すぎでは。クロアチアが懸命にプレスをかけ続けるのとは対照的に、アルゼンチンには献身性が足りない。後半46分、カウンターからラキティッチが持ち上がってシュート、弾いたボールをコバチッチが拾い、冷静にフリーのラキティッチにボールを渡してゴール。アルゼンチンの守備陣は帰ってこない。これで3点目。0対3。1分1敗。不必要な失点を重ねて、得失点差でも苦しくなってしまった。
●サンパオリ監督という戦術家を招いておきながら、結局は「戦術はメッシ」になってしまうというアルゼンチン。メッシもしきりにセンターライン付近まで戻ってディフェンスからボールを受けて、自分で組み立てようとする。チームはバラバラ。メッシがいないほうが勝てるんじゃないかと思ってしまうほど。前回ブラジル大会でそろって健闘していた南米勢が、今大会はひとつ残らず不調。ブラジルはスイスに引き分けるし、コロンビアは日本に負けるし、ペルーは連敗。どこもサポーターは驚くほど大勢来ているのだが。
フランス 1-0 ペルー
娯楽度 ★★★
伝説度 ★
アルゼンチン 0-3 クロアチア
娯楽度 ★★
伝説度 ★★★★