●前回大会でもそうだけど、国歌の「持ち時間」が少なくなって、ブラジルとかアルゼンチンとかラテン諸国の長い国歌がばっさりカットされてしまっている。だれなんすか、こんな乱暴なことをするのは。前回大会はブラジルが開催国だったので、ブラジル代表の選手たちも観客たちもFIFAに抗議するかのように、曲が短縮バージョンで終わっても、録音を無視して勝手にみんなでフルバージョンを歌い続けた。正しい。が、ここはロシア。第1戦のスイス戦ではわずかに抵抗の意思が見られたものの、第2戦、ブラジル対コスタリカではさっさと短縮版で切り上げられて、すぐにコスタリカの国歌が始まってしまった。あー、盛り上がらない。全宇宙の大半のサッカーファンにとって、ブラジルとは自国が敗退したり不参加だったりした場合に応援する憧れの「王国」であり、ブラジル国歌は第2の国歌みたいなものではないの。
●で、試合だ。ブラジルは青のセカンド・ジャージで登場。明るく鮮やかな青でなんだかブラジルっぽくない。コスタリカの選手たちはブラジル代表ブランドをまったく恐れていない。前半13分、右サイドでガンボアが爆発的なスピードでブラジルのディフェンスを置き去りにして駆けあがる。マイナスの折り返しに中でボルヘスが合わせるも惜しくも外れる。前半はスコアレス。堅守のコスタリカに対して、攻めるブラジル。コスタリカは最後の砦、キーパーのナバスが好セーブを連発。なんといってもこの人はレアル・マドリッドの正ゴールキーパー。最高水準のキーパーがいると、こんなにも頼もしいものなのかと感心。時間とともにブラジルに焦りが見えてくる。特にネイマールは相手のファウルをなんども主審にアピール。たしかにスイス戦ではずいぶん削られて気の毒だったが、これではコスタリカと戦ってるのか審判と戦ってるのかわからなくなってくる。
●そしてついてに後半33分、ペナルティエリア内でネイマールは倒れてPKを獲得! ウオッッシャー! そんな雄叫びが聞こえてくるかのようなネイマールの顔。だが、ここで登場するのがVAR、ビデオ判定だ。テレビでスローで見ても、ネイマールは触れたか触れていないかくらいの相手の寄せに大げさに倒れ込んでいるのがわかる。主審だって同じ映像を見るわけだ。PKは取り消された。ネイマールは主審に勝つだけではだめで、ビデオにも勝たなければいけない。もっと倒れ方を工夫するべきだろうか。それとも、倒れるのではなく、プレイしてみてはどうだろうか。ネイマールからスーパースターのオーラが消えるのはこういう瞬間だ。
●スコアレスのままアディショナルタイムに入り、もうこれでブラジルの2試合連続引分けは確定したかに思われた。だが後半46分、クロスボールの折り返しをジェズスが落として、コウチーニョが豪快に蹴り込んだ。ナバスの股を抜いてゴール。ついに1点リード。ブラジルは喜びを爆発させる。そして、こうなるとそれまでの試合展開がウソのようにブラジルはリラックスした美しいボール回しを披露して、相手にボールを触らせない。ネイマールのヒールリフトも飛び出す始末(これがまたスーパースターらしくない余計なプレイだと思う)。後半52分、華麗なパスワークからついにネイマールもゴールを決めて2点目。ブラジルはプレッシャーから解放されてのびのびとプレイ。ブラジルには勝ち進んでほしいので、まあ、よい結果に終わったんだけど、このチームへの共感度はもうひとつ高まらない。
ブラジル 2-0 コスタリカ
娯楽度 ★★
伝説度 ★★
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●ところで、当サイトは1995年から続いているのだが、4年に1度ワールドカップがやってくるたびに、延々と観戦記を書くことになっている。過去の大会の観戦記へのリンクを以下に置いておこう。
ワールドカップ2014ブラジル大会
http://www.classicajapan.com/wn/worldcup2014.html
ワールドカップ2010南アフリカ大会
http://www.classicajapan.com/wn/worldcup2010.html
ワールドカップ2006ドイツ大会
http://www.classicajapan.com/wn/worldcup2006.html
ワールドカップ2002日韓大会
http://www.classicajapan.com/wc2002/index.html
ワールドカップ1998フランス大会
http://www.classicajapan.com/france98.html