●メキシコに敗れていきなり背水の陣を敷くことになった王者ドイツ。対するはスウェーデン。欧州予選でオランダやイタリアを沈めて本大会にやってきた堅守速攻のチーム。ドイツはエジルをベンチに置くなど何名か選手を入れ替えて、開始早々からハイテンションでスウェーデンのゴールに襲いかかる。簡単にゴールを奪えそうな雰囲気もあったが、スウェーデンのカウンターが想像以上に鋭い。ドイツが一方的に攻めて、スウェーデンがひたらすらカウンター狙いという極端な展開に。前半25分にスライディングをしたドイツのルディに対して、飛び越えたトイボネンの足が顔面を蹴ってしまい、ルディは鼻血で顔面を真っ赤に染める。結局、ルディはギュンドアンと交代になってしまったのだが、あれは故意に蹴ったとしか思えなかった。カードは出ない。この種のプレーには、たとえスローで見ても故意か偶然かの見分けがつかないグレーゾーンがあるのはわかるのだが……。
●前半32分、クロースのパスミスを奪ったところからスウェーデンのショートカウンター。クラエソンのシンプルなクロスを中央でトイボネンが受け、これをループシュートでゴール。カウンターしか狙ってないスウェーデンがものの見事に先制。
●後半3分、右サイドからの低いクロスをロイスが押し込んで同点ゴール。徐々にスウェーデンの鉄壁の守備にもほころびが見えてくるが、後半37分、ドイツのボアティングが危険なスライディング・タックル。イエローカードが出れば2枚目だが……主審はカードを出さない。しばらく沈黙の時間があって、ようやくカードが出てボアティング退場。これはビデオ判定で主審の判定が覆ったということなのだろうか? 判定は妥当だが、わかりにくい。
●さて、ドイツは一人減って万事休す。このまま引分けで終われば、ドイツは2試合で勝点1。いつも憎らしいほど強すぎるドイツが、グループリーグで敗退するのだろうか。だとしたら、これは伝説だ。ふふ、でも悪役のいない大会も寂しいものかもね。アディショナルタイムに入り、あとは笛を待つだけの後半50分、ドイツのフリーキックでクロースが横のロイスにボールを預けて位置をずらしてから思いきり右足を振り抜いて、これがゴール。鮮やかな幕切れ。ほんの一瞬だが、ドイツに同情してしまったら、決勝ゴールを奪われてしまった。あーあ。ドイツはいつだってそんなチームだ。このチームに同情は不要。
ドイツ 2-1 スウェーデン
娯楽度 ★★
伝説度 ★★