●グループFは第3戦目の時点ですべてのチームに可能性が残っている。メキシコはドイツと韓国に勝って勝点6とトップを走る。スウェーデンとドイツは勝点3、韓国は勝点0。メキシコ対スウェーデンは、同時開催の韓国対ドイツの結果を気にしながら進むことに。
●好調メキシコは前の試合と同じメンバーを先発させて臨んだが、これまでとは勝手の違った展開に。スウェーデンが圧倒的な体格差を利用してパワー勝負に出た。ロングボールやセットプレイを武器にメキシコを攻め、一方で守る場面ではこれまでの爆守備速攻モードで対応。メキシコはドイツ戦で体格差をはねのけたが、この試合ではかなり苦しんだ。前半は耐えたものの、後半にアウグスティンソン、グランクビスト、オウンゴール(不運)と次々と失点。3失点目の後半29分ですでに決着はついた。喜びの雄叫びをあげるスウェーデンの選手たちと監督。スウェーデンは勝点6でメキシコに並び、得失点差でも上回る。3ゴール目で勝ち抜けを確信したはずだ。
●で、問題はメキシコだ。ここまで優位に立っていたはずなのに、スウェーデンに追い抜かれてしまった。裏の試合でドイツが韓国に勝てばメキシコが敗退する。選手たちは3失点に意気消沈。とはいえ、この時点で韓国対ドイツは0対0。そのまま韓国が耐えきって引分ければ、メキシコは勝ち抜ける。スタジアムを埋め尽くしたメキシコ・サポたちは目の前の試合よりも手元のスマホの画面を見るようになった(なぜかこの大会はロシアで開かれているのに、スタジアムは中南米のホームゲームのようになる)。だって、そうだろう。あとわずかな残り時間で3点差を跳ね返せるわけがない。でも、韓国がドイツと引分ける番狂わせをやってくれれば、オレたちは勝ち抜ける。今そこにワールドカップの試合が行われているのに、観客たちはスマホの画面しか気にしていないという奇妙な事態が発生した。そして、アディショナルタイムに入ると、ワァーーー!とメキシコ人たちが喜びの声をあげた。韓国が耐えきったのか? いや、違う。韓国がゴールを決めたのだ! メキシコにとって願ってもない最良の展開。もうこれで安心だ。
●観客席ではお祭りムードにわきあがっているが、ピッチ上の選手たちは3失点でうなだれている。試合終了の笛が吹かれたが、選手たちに喜ぶ様子はない。泣いている選手までいる。裏のゲームはまだ続き、なんと韓国が2点目をあげた。最後の最後にドイツはキーパーのノイアーを前線に上げて捨て身の攻撃をした結果、無人のゴールにソン・フンミンがゴールしたらしい。結果として、この組は1位スウェーデンと2位メキシコが勝ち抜け、3位韓国と4位ドイツが敗退することになった。王者ドイツがよもやここで消え去るとは。どんな逆境でもいやらしいほどしぶとく戦うドイツがまさか、まさか……。お祝いをしよう、メキシコのために。
メキシコ 0-3 スウェーデン
娯楽度 ★★
伝説度 ★★★★