●グループリーグを通過したものの、むしろひとつのサイクルの終わりを感じさせる黄昏のスペイン、参加国中最低ランクながら波に乗る開催国のロシア。スペイン対ロシアは対照的な両チームの戦いになった。スペインは相変わらず技巧的なパス回しによる詰将棋みたいなポゼッションサッカーだが、ボールを失うことを嫌がり、低リスクの攻撃に徹する。前半12分にオウンゴールであっさり先制して、消極的な「ティキタカ」が続く。前半40分、スペインは不運なハンドを取られてPKを与える。これを決められて同点。これでやっと試合が動き出すと期待したが、偉大なる老巨匠の荘厳なパスワークが延々と続き、PK戦にもつれ込んでしまった。ロシアはパッションの守備。
●統計的にPK戦は先攻の勝率は60%、後攻が40%で圧倒的に先攻が有利とされる。スペインは有利な先攻を引いたが、最後まで追い風が吹かず。開催国がまさかの8強へ。これは伝説の始まりなのだろうか。
●一方、クロアチア対デンマーク、こちらは奇妙な試合展開になった。キックオフ直後、デンマークのロングスローのこぼれ球からマティアス・ヨルゲンセンが先制ゴール。開始1分の先制点。クロアチア優位と思っていたが、これで試合がわからなくなった……と思ったら、4分、ゴール前でデンマークのクリアボールが味方に当たって跳ね返り、これを拾ったマンジュキッチが同点ゴール。たった4分で両者1点ずつを奪い合う激しい展開。ところが、ここから試合の様子は一変して膠着自体に。攻めるクロアチアと堅守速攻のデンマークという図式も次第に崩れ、結局延長戦までやっても次のゴールは生まれず。1対1。クロアチアは3戦目に主力を軒並み休ませたはずなのに、全般に体が重そうで、ダイナミズムを欠く。グループリーグとは別のチームみたい。決勝まで進むと思っていたのだが……。
●PK戦の先攻はデンマーク。クロアチアのスバシッチもデンマークのシュマイケル(岡崎の同僚だ)も止めまくったが(あるいはキッカーが弱気だったか)、クロアチアが勝利を収めた。この日のふたつのPK戦はどちらも不利な後攻が勝ったわけだ。まあ、そんなこともある。
スペイン 1(PK3-4)1 ロシア
娯楽度 ★★
伝説度 ★★
クロアチア 1(PK3-2)1 デンマーク
娯楽度 ★★
伝説度 ★