●すでに敗れた者同士が戦う3位決定戦は、ワールドカップにおいて蛇足以外のなにものでもない。この3位決定戦の敗者は、世界4強まで勝ち上がるという快挙を成し遂げたにもかかわらず、最後は連敗して大会を去らなければいけないという不条理。とはいえ、決勝戦までの休養日にほかにどんな試合を組めばいいのかというと、妙案はない。限りなくエキシビション・マッチに近い公式戦。試合が始まってみると、いかにもフレンドリー・マッチ的な雰囲気が漂っている。ベルギーとイングランドの両者はグループステージ第3戦でも、半ば消化試合的な雰囲気で戦っているのだが、それが3位決定戦でも再現されるとは。とはいえ、結果至上主義にならない分、スペクタクルが見られるのも3位決定戦。
●上位進出したチームのなかで、スペクタクル志向という点ではベルギーが抜群だったと思う。アザール、デブライネ、ルカクを中心とした攻撃陣はアイディアも豊富、ドリブルやパスワークも見ごたえがある。クリエイティヴィティという点でイングランドとの差は歴然。イングランドは強いし速いんだけど、なんにもないところからチャンスを創出する選手がいない。得点の4分の3がセットプレイからというのも納得。開始早々、ルカクの完璧なスルーパスからシャドリの低いクロスにムニエがボレーで蹴り込んでベルギーが先制。ルカクは使われるタイプだと思いきや、使うこともできるとは。後半37分にはアザールのキレキレのプレイで追加点。2対0で勝つべきチームが勝ったという印象。
●ベルギーは3位になった。でもワールドカップで3位になったチームを覚えてる人はいない。決勝で見たかったなというのが本音。この3位決定戦はさながらプレミアリーグ対決といいたくなるほど、イングランドプレイする選手が多かったが、やはり現状ではプレミアリーグが最強のリーグだと思う。他の国に比べて最上位チームから下の層が厚い。ベルギーみたいにプレミアリーグのスターを何人もそろえるチームが、過去の実績の有無にかかわらず上位まで勝ち上がってくる。これはサッカー選手の移籍市場の効率性の高さを示すものと理解している。
ベルギー 2-0 イングランド
娯楽度 ★★★
伝説度 ★