●2か月ほど前にこんな話題があった。「Apple Music、ついに5000万ユーザーを達成。音楽配信サービスの最前線が近づきつつある」。Apple Musicのユーザー数が先行するSpotifyに近づいてきた、というニュース。日本国内だと順序が逆なので意外な感じがあるかもしれないが、定額制音楽ストリーミング・サービスといえばまずはSpotifyだったのが、だんだんApple Musicが追いつきつつあり、たぶんこの調子だと逆転しそうだという情勢なんである。自分の解釈では、Spotifyという音楽専門店にAppleという大型店が追いつくのは、ユーザー層の広まりを反映した自然なこと。
●で、しばらく前より有料サービスのSpotifyプレミアムとApple Musicの両方を併用しているのだが、現時点での使用感を記しておこう(Google Play Musicはもはや見限った)。Windowsでの利用を前提とすると、アプリケーションの出来はSpotifyの圧勝。起動が速く、軽快に動く。Apple Musicは動作がモッサリしているのみならず、基本的な挙動が不安定で、バージョンアップを頻繁に繰り返しているのに、なにかがよくなっているという気がしない。むしろ、新バージョンが出るたびで新たなバグがあるのではないかという不信感で、気軽にバージョンアップできない。日本語周りの扱いも怪しい。
●しかし、音源の数はクラシックに関して言えばやはりApple Musicのほうが豊富だという実感がある(特に新譜コーナーで比較するとはっきりそう感じる)。もしどちらかひとつだけ契約するとしたら、しぶしぶApple Musicを選ぶんじゃないだろうか。だって、ある音源が聴けるか聴けないかの差は決定的だから。で、現状どういう使い方をしているかというと、まずはSpotifyを優先的に立ち上げる。で、そこに聴きたい音源があれば聴くけど、なかったらしょうがないからApple Musicを起動して探す。
●というわけで、ワタシはまだしばらく両方を併用することになると思う。なお、これはこの種のサービスの基本だが、検索するときは(日本のレーベルを探すときを別として)欧文で検索する。日本語で検索して満足できる結果が帰ってくるサービスはナクソス・ミュージック・ライブラリーだけ。ナクソスの日本語対応はとてもしっかりしている。これはどういうことかというと、ストラヴィンスキーの「春の祭典」を検索したいときに、SpotifyやAppleでは The Rite of Spring と Le Sacre Du Printemps のどちらでヒットするかはわからないわけだ。その点、ナクソスは元のアルバムのタイトルがどちらであろうと「春の祭典」と日本語検索すれば全部ヒットする。「日本語対応」の意味はこういうところにある。
July 30, 2018