●5日はミューザ川崎でフェスタサマーミューザ2018。先日、OEKを指揮したマルク・ミンコフスキが今度は都響の指揮台に登場。演目はチャイコフスキー「くるみ割り人形」全曲。クリスマスをぶっ飛ばせ、真夏に聴く灼熱の「くるみ」。当初休憩なしで一気に演奏すると発表されていたが、第1幕と第2幕の間に20分の休憩をはさむことに。これは断然正解というか、フェスタサマーミューザのようなファミリー層も来場するサマーコンサートでは、休憩がないといろんな心配事が発生しがちなので安堵(子供たちが座ってられなくなったりトイレに行きたくならないかとか)。合唱はTOKYO FM少年合唱団。もちろん、バレエはなし。客席はよく入っていた。
●ミンコフスキは一貫してきびきびとしたテンポで、歯切れよくコントラストの効いた音楽を展開。踊りの音楽にはちがいないけれど、バレエのピットで奏でられる優美な音楽というよりは、ノリノリのシンフォニックな音楽。彼が指揮台に立つと、全身から発散される熱気がステージを包み込むかのよう。もともと恐るべき名曲密度を誇る傑作が、さらに一段、濃密に感じられる。全曲版でも舞踊の欠落感をまったく感じさせなかった。なかなかこうはいかない。チェレスタも見事。曲が終わると盛んなブラボーが寄せられ、最後はミンコフスキのソロ・カーテンコール。
●「くるみ割り人形」って、ストーリーが動くのはほとんど第1幕で、第2幕は踊ってばかりで話が進まないんすよね。バレエだからしょうがないけど。あ、でもオペラでも歌ってばかりで話が進まないという現象はあるか。踊らない/歌わないと話にならないけど、踊りすぎる/歌いすぎると話は進まない。まるで人生みたいだ。ウソ。
August 6, 2018