●6日はすみだトリフォニーホールでトン・コープマン指揮新日本フィルのバッハ・プログラム。プログラムは前半が管弦楽組曲第4番、ブランデンブルク協奏曲第1番、後半がブランデンブルク協奏曲第3番、管弦楽組曲第3番。チェンバロに曽根麻矢子(ブランデンブルク協奏曲第3番のみコープマンがチェンバロも担当)。新日本フィルといえばかつてブリュッヘンとのプロジェクトがあったのを思い出すが、今回のコープマンとの共演から生まれるのはまったく別種のはつらつとした音楽。
●前日に1時間のみの公開リハーサルがあって、そこでは管弦楽組曲第4番がとりあげられていた。短時間の間にどんどん音楽が彫琢されて、コープマン指揮新日本バロック・オーケストラと呼びたくなるような生命力が吹き込まれていくプロセスは見物だったんだけど、本番ではむしろ後半が精彩に富んで印象的。ブランデンブルク協奏曲第3番のみ、客席に背を向ける形でチェンバロを置いてコープマンが演奏しながら指揮、オーケストラもチェロ以外は立奏。物理的な編成はいちばん小さいんだけど、客席からの心理的な距離感はもっとも近く感じられるのがおもしろいところ。立って演奏する効果なのか、コミュニケーションの密度ゆえなのか。2つの和音が書かれるのみの第2楽章では、コープマンの即興と呼ぶには入念なソロが披露された。これはCDでの演奏と同じものなのかな。終楽章の疾走感は爽快。
●管弦楽組曲第3番のガヴォット冒頭が「まっかだなー、まっかだなー」としか聞こえないのは全国的全世代的に共通の現象なんだろうか。それにしても管弦楽組曲って4曲しかないのが本当に惜しい。もっとたくさん書いてほしかった。バッハの曲ってなんでも6曲セットが多いけど、どこかにあと2曲、管弦楽組曲が残ってたりしないもの?
●アンコールにヘンデル「王宮の花火の音楽」から「歓喜」。爆発的。明日8日はアムステルダム・バロック・オーケストラ&合唱団とのロ短調ミサが演奏される。
September 7, 2018