September 10, 2018

山田和樹指揮日本フィルの三善晃、デュティユー他

●7日はサントリーホールで山田和樹指揮日本フィル。プログラムがとても意欲的で、前半にプーランクのシンフォニエッタと三善晃のピアノ協奏曲(萩原麻未)、後半にデュカスの「魔法使いの弟子」(ストコフスキー版)とデュティユーの交響曲第2番「ル・ドゥーブル」。このプログラムで同一ホール2公演を開けるのはすごい。三善晃作品をフランス音楽の流れでとらえれば変則フランス音楽プロ。「魔法使いの弟子」がディズニー映画「ファンタジア」由来のストコフスキー版となっていることを思えば、20世紀中葉プログラムでもある。
●プーランクのシンフォニエッタは簡潔な編成だけど、けっこう長い。逆に三善晃のピアノ協奏曲は多数の打楽器群が大活躍する巨大編成なんだけど、その割には短い。短い中にすさまじいエネルギーが爆発して、ピアニストはマグマの激流と格闘する。「ル・ドゥーブル」は作曲者が亡くなっても演奏機会はけっこう多いし、このまま20世紀後半の交響曲としてオーケストラのレパートリーにしっかり定着しそう。「ル・ドゥーブル」、つまりダブル。オーケストラの前に小オーケストラが配置されるという二重の編成があるわけなんだけれど、この仕掛けを機能させるのはそう簡単にはいかないという気も。小オーケストラのティンパニとかはすごく引き立つ反面、残響の豊かな大ホールで距離のあるところから聴くとなかなか二重のアンサンブルというほど前後の対比は感じづらい。でも、そのダブル効果があってもなくても、この日もっとも楽しめたのはまちがいなくこの曲。語り口が豊かで多彩。

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