●8日はすみだトリフォニーホールへ。トン・コープマン・プロジェクト2018のハイライト、コープマン指揮アムステルダム・バロック管弦楽団&合唱団によるバッハのロ短調ミサ。今回の日本ツアーは、ほかに台風の被害があった大阪、地震で大規模停電が起きた札幌を巡ることになっていて、大阪ではなんとか公演ができたものの札幌は中止になってしまった。残念な限り。コープマンがマイクを持って登場して、お見舞いのメッセージあり。
●ロ短調ミサの前に、なぜかコープマンがバッハの小フーガ ト短調をオルガンで演奏。そういえば7月のミューザ川崎でのオルガン・リサイタルでもこの曲が演奏されて、全体のプログラムから浮き上がっていた。オルガンのあるホールと見るやこの曲を弾くことに決めているのだろうか。ひょっとして、ぜんぶ録音していて全世界各地のオルガンによる「小フーガ」20連発みたいな企画CDを出したりして……って、んなわけないか。細部に拘泥せず、猛進する前のめりの演奏スタイルは今回も変わらず。
●ロ短調ミサは期待通り、音楽の愉悦にあふれたバッハ。遅い曲でもあまりテンポを落とさずにすいすいと進んで、過度に儀式化しないところが吉。これなら非キリスト者も仲間に入れてもらえそうな気がする。コープマンもけっこう高齢になったはずなんだけど、昔からあまり風貌が変わっていないせいなのか、音楽がはつらつとしているせいなのか、あまりそんな感じがしない。むしろ時の流れを感じさせるのは世代交代するオーケストラのほう。合唱は少人数。独唱陣はマルタ・ボス(ソプラノ)、マルテン・エンゲルチェズ(カウンターテナー)、ティルマン・リヒディ(テナー)、クラウス・メルテンス(バス)。
●休憩が一回入ったのだが、第2部と第3部の間、つまり「サンクトゥス」の前に入った。前半には小フーガもあったので、たぶん前半で90分以上、後半で30分弱くらいの時間配分だっただろうか(うろ覚え)。長さで考えれば「クレド」の前に入ってもよさそうなものだが、文脈上の区切りとしては「サンクトゥス」の前がふさわしいってことなの?
September 11, 2018