●10日は新国立劇場で「大野和士のオペラ玉手箱 with Singers Vol.1 魔笛」。新オペラ芸術監督が自ら登場して、ピアノを弾きながら開幕の演目について語るというレクチャー。歌うのはカバー歌手たち。会場はなんと本番と同じオペラパレスで(すごい集客力)、19時開演で休憩をはさんで21時終演予定というぜいたく仕様。しかもトークが予定より大幅に長くなり21時半くらいに終わった。もうそれだったら「魔笛」本編の正味と変わらないよ!っていうくらいの時間を費やしたわけだが、これが抜群のおもしろさ。かねてより大野さんのレクチャーの巧みさは知られるところではあるけど、一本のオペラについて2時間以上もピアノを弾きながら話すことができて、なおかつそれが場内の聴衆の興味を最後までひきつけられる人が、いったいほかにいるだろうか。しかも、なにがスゴいって、「魔笛」の本番の指揮者は大野和士じゃないんすよ!(指揮はローラント・ベーア)。もうそのまま指揮しちゃえばいいじゃん! って、そうもいかないか。
●内容については詳しく書かないけど、いちばん「おお!」と思ったのは、「第九」との近似性の話かな。あと、通常は聴く機会のないカバー歌手のみなさんの歌を聴けるというのも吉。カバーといっても、実績のある方々がそろっている。パミーナの馬原裕子さんは本番でも聴きたいと思ったほど。
●Vol.1と銘打たれているということは、Vol.2もVol.3もあるのだろう。欲を言えば終演時間をもっと早くしてほしかった。最高におもしろい内容であっても(事実最高におもしろかった)、21時を過ぎると翌日への影響が必至。休憩なしで20時に終わるとか、開演を早められれば。あるいは期間限定でいいので、YouTube等にあげてもらえたら最高だ。
September 12, 2018