●これは好企画。「アフリカのことわざ」(東邦出版)。書名の通り、アフリカのことわざをイラストを添えて紹介するという一冊で、含蓄のある一言から今ひとつピンとこないけどアフリカ感だけは満載の一言まで、実に味わい深い。
●で、本書から「ザ・ベスト・オブ・アフリカのことわざ」を選ぶとするなら、ずばり、これ。首がもげそうなくらいにうんうんとうなずく人も多いのでは。
ラクダは重い荷物には耐えられるが、縛り方の悪いロープには耐えられない(ソマリア)
●働くことに関する真実すぎる真実。そうなんだよなー。たいていの人は仕事そのものの大変さというのは、そこそこは受け入れられるものなんだけど、本質業務から外れた部分の負荷、たとえば段取りが悪くて余計な苦労を背負うことになったりとか、簡単にできるはずのことを不合理なやり方でするように求められたりとかすると、光の速さで音を上げる。ソマリアのラクダに言いたい。日本のニンゲンたちも同じ気持ちだと。同志よ!(ひしっ)
●ほかにも印象深いことわざがいくつもある。「あなたの怒りがどれほど熱くても、ヤムイモは調理できない」(ナイジェリア)。身につまされるタイプの教え。どんな味か知らないけど、ヤムイモって言葉の響きがいい。「シマウマを追っても必ず捕まえられるわけではないけれど、捕まえた者は追っていた者」(アフリカ南部)。当たり前だって? いやいや、実際のところ、わかっていてもみんな追えないわけじゃん、シマウマを。シマウマ、捕まってくれそうにないわけだし。でも捕まえる人をたまに見かける。
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●お知らせ。ONTOMO連載「耳たぶで冷やせ」Vol.7は、「オペラになったレムのSF小説『ソラリス』を、藤倉大×沼野充義の対談から読み解く」。先日、東京芸術劇場で行われたおふたりの対談レポート。