●25日はサントリーホールでヘルベルト・ブロムシュテット指揮NHK交響楽団。前半がベートーヴェンの交響曲第6番「田園」、そして後半が待望のステンハンマルの交響曲第2番。ブロムシュテットは各地のオーケストラでこの曲をたびたび取り上げているようなのだが、N響定期でこのプログラムが実現するとは! だいぶ前に、Capriceレーベルのスティグ・ヴェステルベリ指揮ストックホルム・フィルの録音で聴いて感激した曲だけど、実演で聴けるチャンスが巡ってくるとは思ってもみなかった。ステンハンマルの交響曲第2番はスウェーデン版の田園交響曲というか、自然賛歌的な性格が感じられて、一種のダブル「田園」プロみたいな感じ。先日のマーラー「巨人」とのつながりも感じる。
●ベートーヴェンの「田園」は緊密で無駄のない高純度の自然賛歌。いくぶん厳めしい分、春の喜びというよりは、吐く息が白くなるような冬空のハイキングといった趣き。ステンハンマルの交響曲第2番は期待以上のすばらしさで、起伏に富み、雄弁。民謡風、民俗舞曲風の素朴な手触りがある一方で、粗削りなんだか独創的なんだかよくわからないようなアンバランスさがあるのも楽しい。第4楽章が圧巻で、フーガ風の楽想を執拗に続けておきながら、それに続くべき「ご褒美」の開放感は控えめだったりして、微妙にマゾヒスティックな快感あり。ブルックナーばりの巨大な音楽まで、あと一歩か。コーダはもっと弾けちゃっていいのではと思うものの、十分に大きな感動を得られる。作品に対するブロムシュテットの情熱が伝わってくる。いずれ別の指揮者やオーケストラでも聴いてみたいものだが、なかなかそんなチャンスはないかなー。
October 26, 2018