amazon
October 29, 2018

ルヴァンカップ決勝 マリノスvs湘南ベルマーレ

●JリーグYBCルヴァンカップ(旧ヤマザキナビスコカップ)の決勝、マリノスvs湘南ベルマーレ。会場は埼スタ、テレビ観戦。まさか、あの超ハイリスク戦術のマリノスが決勝まで進んだのも驚きだが、相手が湘南なのも驚き。だって、お互いにリーグ戦では残留争いをしているのではないの。それなのに決勝戦とは……。もっとも今季のJ1は異様なほど中位~下位の成績が拮抗していて、現時点で10位のガンバ大阪から18位の長崎までの9チームが残留争いに巻き込まれていると言っていい。ACLを争う上位と降格危機にある下位がシームレスにつながっていて、どちらの争いにも加わっていない中位のチームというものがひとつもない。前代未聞。
●で、決勝だ。ずばり、マリノスは完敗。負けるべくして負けた。実はここのところ、リーグ戦では少し勝ち点を拾えるようになっているのだが、一方で初期ほどポステコグルー監督の過激戦術が目立たなくなっている。機能すると負け、機能しないと負けないという逆噴射ポストモダン戦術を採用するマリノスだったが、終盤に近付くにつれラディカルさは薄まり、単に攻撃的な戦術、点を取るけどよく失点する戦い方に落ち着きつつある。現状、リーグ戦では11位だが、得点数は1位、失点数も1位(最下位の長崎と並ぶ)。湘南はキックオフ直後から出足の鋭い精力的な守備でマリノスにボールを持たせない。完全に後手に回ったマリノス。ポゼッションで相手を下回り、守勢に回ってしまうと、もうこのチームに強みはない。前半36分、湘南の杉岡のミドルが決まって0-1。運動量の豊富さ、攻守の切り替えの速さ、集中力の高さで湘南が上回っていた。マリノスは攻撃時のミスの多さも目立った。キープレーヤー天野純はアイディアがあっても、精度を欠いて空回り気味。頼みの仲川輝人もキレはもうひとつ。ウーゴ・ヴィエイラもいつもの決定力を欠いた。
●後半の途中から、さすがの「湘南スタイル」も息切れして、マリノスが主導権を取り返したが、ボールを持っていても工夫が足りず、なかなか決定機に至らない。守りに徹した湘南が、プラン通りに試合を終わらせたという印象。選手の力を伸ばすという点で、かねてより曺貴裁監督はJリーグでも最高の指導者のひとりとして羨ましく思っていたが、もう脱帽するしかない。この試合はどう見ても湘南が勝者にふさわしかった。