November 2, 2018

クリスティアン・ティーレマン指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のシューマン

●1日はサントリーホールでクリスティアン・ティーレマン指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団。二日間にわたるシューマン交響曲チクルスの二日目のみを聴く。交響曲第3番「ライン」と交響曲第4番という簡潔なプログラムだが、聴きごたえ十分。オーケストラは伝統の深く重厚なサウンドをこれでもかというくらい心地よく鳴らしてくれる。ティーレマンの指揮棒から少し遅れてズシリとしたサウンドが下から湧き上がってくるかのよう。その一方で、細部までデザインされていて、楽器間の分離も明瞭、輪郭もくっきりしていて、まったく鈍重ではない。説得力は半端ではなく、ひとつの理想形。弦楽器の配置はもはやすっかりおなじみ、コントラバスを下手に並べる対向配置。「ライン」でのホルンは絶品。
●シューマンの交響曲はどれもロマン派屈指の傑作だと信じているんだけど、なにが魅力かといえば、明るい曲調だろうが暗い曲調だろうが、どんなときでも鬱屈した情熱が渦巻いているところ。すごくロマン主義的だと思う。第4番の終楽章なんかが典型で、喜びが弾けているのに、そこにうっすらと憤怒が同居しているというか。この種の楽想の系譜はマーラーの交響曲第9番の第3楽章に受け継がれていると思う。それと、第4番は第2楽章でオーボエとチェロが一緒にソロを弾くじゃないすか。あの重複感が謎。どちらかだけならソロの見せ場なのに、ふたり一緒になるとどっちが主役なんだかわからない。あそこはふたりでぴたりと息を合わせるのが正解なんだろうか。
●あと「ライン」って全5楽章なんだけど、第4楽章を第5楽章に対するウルトラ長大な序奏とみなせば、第2楽章にスケルツォ、第3楽章に緩徐楽章が置かれるタイプの伝統的な4楽章構成になる。「執拗な序奏付きの交響曲」の系譜っていうのがありそう。前説に力が入りすぎて、それ自体がコンテンツとして独立しちゃった感というか。

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