●15日はミューザ川崎でフランツ・ウェルザー=メスト指揮ウィーン・フィルへ。ベルリン・フィルは日本を素通りしていったが、ウィーン・フィルは来てくれた。ありがとうっ!(ヒシッ)。で、川崎だ。フロンターレ川崎のJリーグ連覇で全市民がフットボール熱に浮かれている川崎だが(←大胆な想像図)、そんな川崎をウィーン・フィルが訪れる。そうだった、ここは、音楽のまち・かわさき、フロンターレのまち・かわさき。
●プログラムは前半にドヴォルザークの序曲「謝肉祭」とブラームスのヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲(ヴァイオリン:フォルクハルト・シュトイデ、チェロ:ペーテル・ソモダリ)、後半はワーグナーの楽劇「神々の黄昏」抜粋(ウェルザー=メスト編、管弦楽のみ)。前回、クリーヴランド管弦楽団との来日公演で聴いたウェルザー=メストだが、ウィーン・フィルを相手にすればまったく違った音楽が生まれてくる。「謝肉祭」のにぎやかな総奏を聴いてウィーン・フィルならではの華やかで豊麗な響きを思い出す。やっぱりこれは至福の響き。白眉はブラームス。ソロもオーケストラもぴたりと一か所に焦点を当てて同じ絵を描く。ウィーン・フィルの「老舗の味」を、ウェルザー=メストが一段ぐっと引き締めてくっきりとしたサウンドに。大編成の「神々の黄昏」は壮麗。金管セクションがまろやか。抜粋といってもコンパクトで後半の尺が短めだなと思ったが、アンコールが2曲。ヨハン・シュトラウス2世のワルツ「レモンの花咲くところ」とポルカ「浮気心」。これはもうお家芸。ウィーン・フィル・スタイルで様式化されている。ワーグナーの荘厳な雰囲気からすごい落差なんだけど、最初が「謝肉祭」だったし、浮かれた気分で始まって浮かれた気分で終わるという趣旨でいいのかも。フロンターレ連覇を祝して(なわけない)。
November 16, 2018