November 29, 2018

デニス・ラッセル・デイヴィス指揮読響のジョン・アダムズ

●28日はサントリーホールでデニス・ラッセル・デイヴィス指揮読響。多様な打楽器群を含む大編成の現代曲2曲の間に、モーツァルトの協奏曲を挟んだプログラム。スクロヴァチェフスキの「ミュージック・アット・ナイト」、モーツァルトのフルートとハープのための協奏曲(エマニュエル・パユ、マリー=ピエール・ラングラメ)、ジョン・アダムズの「シティ・ノワール」。スクロヴァチェフスキは昨年を世を去った読響ゆかりの大指揮者でもある。その「ミュージック・アット・ナイト」とアダムズの「シティ・ノワール」、曲名からしても共通した題材に思えるわけだけど、スクロヴァチェフスキのほうはフェッラーラの古城で思いを馳せた伝説がきっかけ、アダムズのほうはロサンジェルスで起きた猟奇的殺人事件「ブラック・ダリア」由来で「フィルム・ノワール」的な街と時代の雰囲気を描く。
●「シティ・ノワール」はドゥダメルのLAフィル音楽監督就任記念の作品ということで、ドゥダメルが一時盛んに振っていた曲。録音や放送で聴く機会はあったけど、ライブで聴いたのは初めて。4管編成に打楽器群特盛の一大スペクタクルで、エネルギッシュで明快、華麗。洗練された熱狂というべきか。輝かしい音の悦楽。他のアダムズ作品と比べて新味があるかといえば微妙なところなんだけど、聴けばすっかり術中にはまるという巧緻。演奏後、オーケストラを讃えるデニス・ラッセル・デイヴィスの姿が印象的。
●フルートとハープのための協奏曲、モーツァルトにしては例外的にお上品というか、過剰にロココ的(?)というか、微温的というか、クライアントの要求にこたえすぎた作品だと日頃思っているんだけど、パユとラングラメのふたりはそんな先入観を吹き飛ばすようなキレのある冴えたソロ。ソリスト・アンコールは、フルートとハープでイベールの間奏曲。抜群に楽しい。

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