●いよいよ一発勝負の決勝トーナメントに入ったアジア・カップ2019UAE大会。ニッポンはいきなり強豪サウジアラビアと対戦。サウジアラビアとは前回W杯最終予選で戦い、ニッポンにとっては消化試合だったこともあり敗れている。監督はフアン・アントニオ・ピッツィ。アルゼンチン出身で、チリ代表を率いてコパ・アメリカ2016を制覇した。足元の技術のしっかりした選手を好むようで、開始早々からサウジアラビアがボールを支配。これまでの対戦相手と違ってミスが少ない。一方、パワーと高さという点では従来ほどではない。にもかかわらず、セットプレイになるたびに、しつこくゴール前にボールを放り込んできたのはピッツィ監督なりのニッポン対策だったのだろう。
●ニッポンはグループリーグ第3戦を控え選手で乗り切ったので、レギュラーの選手たちが復帰。ただしケガの大迫の代役で、武藤が引き続きトップに入った。GK:権田-DF:酒井宏樹、冨安、吉田、長友-MF:遠藤航、柴崎-堂安(→塩谷)、南野(→伊東)、原口-FW:武藤(→北川)。序盤からサウジアラビアの攻撃に耐える展開になったが、前半20分、柴崎のコーナーキックに中央でマークを外した冨安が頭で合わせて先制。これは練習通りの形がぴたりとハマったのでは。しかしその後もサウジの勢いは衰えず、ひたすら守る展開が続く。リードしたのだから相手にボールを持たせて、カウンターを狙ったという面もあったとは思うが、それ以上に主審の判定が厳しかった。ニッポンのごくなんでもない当たりが逐一ファウルになってしまい、せっかくボールを奪取しても笛が吹かれる。一方でサウジ側は倒れればすぐにフリーキック。ウズベキスタンのイルマトフ主審はアジアでは名審判ということになっているらしいのだが、この人の笛には以前も苦しんだ。ニッポンはナーバスにならずに割り切った守備を貫けたのは立派。
●後半もずっとサウジが攻め続けて、終わってみればニッポンのボール保持率はわずか24%。なんとか耐えてボールを奪っても、その後、前線に収められずにまた連続攻撃に耐えるというキツい展開で、サウジが最後の決定力を欠いたおかげで守り切ることができた。1対0。ひやりとするシーンはいくつもあった。森保監督は終盤まで選手を代えない傾向にある。ようやく後半31分に南野を下げて伊東、残りの2枚は後半43分と46分という終了直前になってから。この展開でも代えないというのは驚きだった。
●さて、内容はずっと冴えないが、準々決勝に進めることになった。次は中二日でベトナム戦。森保監督はどういうメンバーを起用するのだろうか。基本的に同じメンバーを起用するタイプだろうが、武藤が累積警告で出場停止。もし大迫が復帰できないとなると、ここまでフィットしていない北川を使わなければならない。また、中盤は青山が故障で離脱。本職の選手を使うなら遠藤航と柴崎で回していくしかない。このポジションのサブは塩谷ひとりなのか、あるいは初戦のように冨安の起用もありうるのか。センターラインの選手層が薄くなっているのは気がかり。
●ベトナムはヨルダンを下しての準々決勝進出。いよいよ東南アジア勢が強くなってきた。オーストラリアはウズベキスタンをPK戦で下した。ザッケローニ率いるホスト国UAEはキルギス相手に3対2の派手な打ち合いで勝利。今のところ圧倒的に強いのはイランで、優勝候補の筆頭。
January 22, 2019